ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

夏休みの自由研究(2)

あれから1ヶ月経ちました。

さて、皆さんは、大ちゃん達がどうなったとお思いでしょうか?
幸か不幸か(?)、とりあえず大ちゃんは、まだ元気です。

先月の原稿を書いたあと、台風10号、11号の影響を受け、しばらく会いに行けない日が続きました。少し間があくと…大ちゃん以外のクマノミは…一体誰??

だいたい、クマノミってどうやって個体識別したら良いのでしょうか。とにかく機会があればイソギンチャクの前に居座り、それぞれの個体の写真を撮り、その前に行った時に撮った写真と見比べても、イマイチ ???

大ちゃんだけが、あ、大ちゃんだ、と確信できるのです。

以前、太郎くんと次郎くんが居た場所には、太郎くんと同じ大きさのクマノミが1匹になりました。これは、太郎くん? それとも、大きくなった次郎くん?

そして、その代わりに米粒サイズの小さなクマノミが1匹入ってきました。どうも、米粒サイズのクマノミはどれも短命のようです。

キキとララも、かなり小さいクマノミでしたが、その位置に少し大きめのモモちゃんが加わり、その後キキとララは姿を消してしまいました。 私が見てる限りでは、イソギンチャクには最大6匹のクマノミが付いたのです。

大ちゃん、太郎くんサイズのクマノミ、米粒クマノミ、キキ、ララ、モモちゃんです。それぞれのポジションは、こんな感じ。

手狭になったイソギンチャクで、相変わらず喧嘩ばかりしていました。米粒サイズのクマノミは、何度か入れ替わりました。

ツユベラは、ずいぶん大きくなるまで、クマノミの邪魔をしていました。時々他のベラの成魚も飛んできて、その度にクマノミは大騒ぎ。

そして、最初の頃から少し気になっていたことがあったのですが、それが顕著になってきました。どうも、このイソギンチャクのクマノミたちは、イソギンチャクから離れたがっているように見えるのです。特に大ちゃんは、見に行く度に泳いでいる位置がどんどん高くなっていっています。体の大きなクマノミほど、イソギンチャクから離れて高く泳ぎ、小さなクマノミほど低い場所で、できるだけイソギンチャクのそばにいようとしているようです。そうかと言って、大ちゃんはイソギンチャクを放棄してしまっているわけではなく、自分が泳ぎまわってる最中に他のクマノミがイソギンチャクの中心部に進出してくると、大急ぎで戻ってきてそのクマノミを追い出します。

これは、他の大きなイソギンチャクで、寄り添うように暮らしているクマノミのイメージと、ずいぶん違っています。ここのクマノミたちは、どうしてこのような行動を取るのでしょうか?

私は、きっとこのクマノミたちは、このイソギンチャクを見限っていて、いつか別のイソギンチャクに移動してやろうと機会をねらっているのでないかと想像していました。きっと彼らはここが終の棲家としてふさわしくないことを知っているに違いない。力のついたクマノミから、もっと住みやすい場所へ移動し、力の無いクマノミはここに残るのではないか? と。

すると、ゲストの方から、こんな意見をいただきました。イソギンチャクが小さいと、クマノミはイソギンチャクのおこぼれをもらうことができないので、食事のために高く泳がなくてはならないのでは?? と。

なるほど、説得力ありますね〜。さらに、そのゲストの話では、小さいイソギンチャクに住んでるクマノミほど腹びれが長いような気がする…、とおっしゃるのです。大ちゃんだけでなく、小さいクマノミも。どうかしら??

もしかして、小さなイソギンチャクに流れ着いてしまったクマノミは、何らかの理由で高く泳がなくてはならない
泳力が必要
腹びれが長くなる
なんでしょうか???

この仮定が正しいかどうか確認するには、このイソギンチャクを観察してるだけでは足りなさそうです。この課題は、来年に持越しかなあ。

それよりも、このクマノミたち。高く泳ぐ理由は不明ですが、このことによって、とんでもない災難を招くことになるのです。それは、最強の外敵! 高い位置でひらひら泳ぐことによって、大勢のダイバーに簡単に見つかってしまうということ。折りしもお盆の繁忙期。この湾内のポイントには、現地ガイドに連れられた少数グループのダイバーだけではなく、何十人もの学生サークルダイバーが怒涛のごとく押し寄せてきていたのです。その彼らにさえ、このクマノミたちは簡単に発見され「きゃ〜、かわい〜!」と触られまくり、写真を撮られまくり、最後にはフィンで蹴られまくり…。

今、直径30cm以上あったイソギンチャクは10cm程度に縮んでしまい、クマノミはたった3匹に減ってしまいました。

夏休みは、そろそろ終わり。
この自由研究も、いったん終了。
クマノミたちの運命も、終わってしまうのかな…。最後はちょっと寂しい結末でした。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

レグルスダイビング

〒100-1511
東京都八丈島八丈町三根1364-1
Tel/Fax:04996-2-3539

http://www.edit.ne.jp/˜regulus

レグルス