ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

幻のI.O.P. Diving News

皆様、明けましておめでとうございます。

お陰様で、この豪海倶楽部への投稿を始めて2度目のお正月を迎えることができました。 これから八丈が皆様にとってもっと身近で手軽に潜れるダイビングポイントになりますように。今年も、どうぞ宜しくお願いいたします。

さて、お正月早々とても不幸な話題ですが、昨年末の益田一氏の訃報はダイバーなら誰でもお聞き及びのことと思います。残念ながら私は全く面識が無く、図鑑などの印刷物からお名前を知っているだけの方となってしまいました。

その「印刷物」の中の一つに、月に一度発行されていたI.O.P. Diving News(伊豆海洋公園通信)があります。自分がI.O.P.で潜っていた頃は、ショップに置いてあったその冊子を暇つぶしにパラパラと眺めている程度でした。それが八丈へ来てからは、いつかはこの冊子に投稿したいなあと思うようになりました。特に「○○の海:×××の仲間たち」というコーナーは、1ページの中に3種類の魚が写真付きで紹介されていて、私にも書けそう…な気がしたのです。とりあえず、いろんな魚の写真を3種類ずつ撮って集めたりしたものです。でも今はもう、かなわぬ夢。

そこで、私の全く手前勝手ですが、このサイトに載せることにしました。あくまでもパロディです。お正月ですから、多少の羽目外しはお許しください。

題して「八丈の海:夢に見たハナダイの仲間たち」。

カワリハナダイ
カワリハナダイ科カワリハナダイ属。中層をブンブン泳ぎ回るその姿は、ハナダイと言うよりムロアジみたいです。とてもキンギョハナダイの仲間とは思えない…と思っていたら、本当に仲間ではありませんでした。ハナダイとは名ばかりで、全く別物。いわゆる「ハナダイたち」はハタ科に分類されていて、そこにはカスリハタやタマカイのようなメートル級の大型種まで入っちゃっているのですが、カワリハナダイは別の科にいるのです。

例えば「隣に座ってる高橋さんは親戚だけど、その隣の水谷さんは苗字がたまたま同じなだけで、赤の他人なの。」みたいな。そういう魚は、他にシキシマハナダイというのがいます。分類学的には別物でも、個人的な趣向で分けさせてもらえば、2種類とも「ハナダイの仲間の1つ」として是非見てみたい魚です。

マダラハナダイ
ハタ科バラハナダイ属。山渓の「日本の海水魚」には、八丈島18mで撮影された可愛い幼魚の写真が掲載されています。が、こんな幼魚が見られたのは、それっきりぃ、これっきりぃ♪

「たった1回の観察例で、八丈にマダラハナダイがいるって言えるの?」と聞くと、「体長が30cmを超える巨大老成魚の群れなら、いつでも見られるよ。」と言われました。「まさか〜!!」と思っていたのですが、本当でした。少なくとも、そう見えました。私は1匹しか見られませんでしたが、先輩スタッフは何十匹も群れているのを見たことがあるそうです。マダラハナダイだけでなく、周りにいた他の魚たちも全て巨大でした。確か下の方に見えた白い砂地にはマンタより大きながマダラエイが寝ていました。一瞬、潜水艦が潜伏しているのかと思いました。見たことのない花がいっぱい咲いていて、蝶が飛んでいたって言っている人もいました…。

アカイサキ
ハタ科アカイサキ属。八丈の海がどっぷりと冷水塊に浸かると(アカイサキにしては)比較的浅い場所に上がってきてくれます。でも、どうしても見たければ、スーパー等の鮮魚売り場を探した方が安全だし、確率も高いかも知れません。まな板の上でなら体長も正確に測れますし、写真も簡単に撮れます。その後、煮付けにして美味しく食べられれば一石二鳥。

しかし私の場合、この魚の写真を撮るためにダイビングを続けてきたと言っても過言ではありません。これまでにも何度かチャンスはあったのですが、なぜかその度に絞り値を間違って設定していたり、なぜかストロボのスイッチが入っていなかったり…。それが、八丈へ来て丸5年が経とうとする昨年末、ようやくこの1枚が撮れました。これでもう、いつでも辞められます。

以上、3種とも確かに八丈に生息しています。現に、写真は全て八丈で撮ったものですし。

でも、リクエストには応えられませんので、ご了承ください。


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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