ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

行ってみたかったハゼ天国

昔見た映画の中で、ある女性が自分の人生を振り返ってこんな話をしていました。「今までの私は、新婚旅行でローマに行きたかったのに、パリへ行って悲しんでいる花嫁のようなものでした。帰ってきてからも、いつまでもローマに行けなかったことを悔やんでばかりいて、パリの素晴らしさを見ようとはしていなかったのです。」

「日本のハゼ」が出版されましたね。中に掲載されている写真を見てビックリ。日本のハゼのほとんどが、西表で見られちゃうんですね。それに比べて八丈で見られるハゼの少ないこと。「日本のハゼ」には、見たことも聞いたこともないハゼがいっぱい。いいなあ、西表。西表、行ってみたいなあ。行ってみたーい!! と、実は著者である矢野さんに、お目にかかる機会があったので、直接言ってみました。ただし、こちらも島でダイビングの仕事をしているわけですから、オン・シーズンの春から秋は無理。行くとしたら冬。勢いよく「冬休みに遊びに行ってもいいですか!?」と伺ったら、あっさりと「その時期は僕も冬休みだからダメ」。えーん。一生行かれないかも。「日本のハゼ」が届いてからしばらく、毎晩眺めて溜息をついていました。

そんな、ある夜。飽きもせず「日本のハゼ」を見ていたら、あれ?これ、神湊にいるやつかも??と見覚えのあるハゼが。神湊というのは、最大水深7m程度の港の中の小さなポイント。ファンダイビングで潜る機会はあまり無く、主に体験ダイビングや講習で使用しています。ところが、この場所は八丈には珍しい砂泥域。その中のごく限られたスペースに、やはりこの場所でしか見られなさそうなハゼが何種類か顔を出しているのです。見慣れていないものだから、肉眼では識別できず、とりあえず写真を撮ったりしてありました。和名があるものなら手元にあった図鑑で調べられたのですが、○○ハゼ属の1種などと呼ばれているものは載っていないし、それ以上調べるのは面倒で放ったらかし。それが「日本のハゼ」にはちゃんと掲載されていたのです。

西表に行きたがる前に、ちゃんと八丈のハゼを見ておかないといけなかったんですね。

写真はそんな、放ったらかしになっていたハゼの一つ。「日本のハゼ」には「ヤツシハゼ属の1種−2」として紹介されています。さてさて、これから八丈で何種類のハゼが見つかるのかな?


水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島

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