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エビカニガイドブックインサイドストーリー 第16回

皆さん、こんにちは、久米島の川本です。さて、今回も色々と悩んでます(泣)。エビ・カニインサイドストーリーなのに、さすがに、2回続けて別の話題を書く訳にもいかないし・・・・・!?じゃあ、ネタが無いのかと言われればそうではなく、「このネタでいく為には、あと近似種が2〜3種はあった方がいいな!」とか、「もうちょい鋭く抉った別カットが欲しいな!?」とか、皆さんにより解り易く楽しんで読んで頂く為にもっと工夫が出来るんでは?っと、思っているネタ達なのです。

今回のオトヒメエビ属の仲間も、もともと、図鑑が出る前は1属1種だった仲間を実は久米島で4種確認してるのですが、写真が2種類しか揃ってません。だから、ここをきちんと制覇してから、このネタに入りたいと思ってました。・・・・が、しかし、この私、伊達に20年近くこの業界にいる訳ではなく、「まあ、贅沢言ってたらキリがありませんからね!?」と言うアツオの一言でコロッと変わりました。機を臨み変に応ず。このいいかげんさ・・・・・、もとい、この変わり身の早さは雄輔さん譲りなのです(雄輔さんごめんなさい)。状況の不利を悟るや転進するのは名将の条件であると、かの有名な誰かも言っていたし・・・・・!?

・・・・・っと言う訳で、今回は、オトヒメエビ属(Stenopus)が沖縄で何種確認されているかをご紹介しましょう。まず、1種目は皆さんも、ご存知の通り、オトヒメエビ(Stenopus hispidus)です。全長8cmにもなるこの子は浅場〜深場、内海〜外海に幅広くペアで棲息し、まさに、この仲間の中で現段階ではこの世の春を謳歌してる種でしょう。写真にあるとおり、幼体の色彩は鮮やかで、夏、素肌に白いジャケットを着た世良正則のような(古い!?)洒落者です。

2種目は久米島の名前を冠するクメジマオトヒメエビ(Stenopus pyrsonotus)です。この子は潮通しの良い外海のドロップオフの窪みや穴中にだいたいペアで棲息し、大きいものでは12cmにもなるやつもいます。和名はカグヤヒメエビなどの候補もありましたが、国内で久米島で最初に見つかったという経緯から名前がつきました。英名のコモンネームよろしく的には、ハワイアン・ケーブシュリンプやゴースト・シュリンプなどと呼ばれています。

さて、ここから問題の写真無しです。一部のダイバーには、国内にいると言うのは公然の事実となっていますが、英名バイオレット・ボクサーシュリンプ(Stenopus tenuirostris)です。阪急コミニケーションズ(当時TBSブリタニカ)さんからエビ・カニガイドブック2(久米島編)の話を頂く以前に4個体程ガイド中確認しているのですが、写真を撮ろうと思った時には駄目で、今日に至っています。もうここ3・4年確認していません。いずれもクメジマオトヒメエビと同じような場所で確認しているのですが、ガレ場などでも観察例があり、ガレ場スペシャリティーの僕としては、粉骨砕身探しているのですが、出てくるのはフリソデエビやケブカキンチャクガニ・スベスベオトヒメエビ属の仲間ばかりで、まだガレ場での観察例がありません。その他、大型のシャコの仲間が住む巣穴にクリーナーとして共生してるという観察例もありますが、これもまだ、ありません。久米島で撮りたいと憧れて何年も経ちます。でも、生物の特定の種類の多さは年々差があり、ある種では多い時には「もういいよ!?」というぐらい多いのですが、その後見たい時には全然見られない事もあるのです。「もういいよ!?」と多くなるその時を、辛抱強くストーカーのように待っているのです(笑)。

いよいよ、4種目はStenopus zanzibaricusです。この子は紅海などで撮影されてる写真を見ますが、実は沖縄にも確認例があります。「とりあえず証拠を!」っと、思っていますが、僕は見ただけで写真も撮れずじまいです。実は、慶良間でも発見例がありまして、「やっぱり!!」と確信し、日々探しているのですが・・・・・。何処からか、「本当〜!?」という声が聞こえてきそうですが、子供の言い分みたいに言い切ります。「だって、俺見たもん!!」。「一期一会」この言葉は、ダイビングというレジャーで特に写真をやるとホント痛感します(泣)。白い体色に赤い横縞、明るく黄色がかったこの子には、いったい何時又遭えるのだろうか!?

オトヒメエビ
オトヒメエビ
オトヒメエビ(幼体)
オトヒメエビ(幼体)
クメジマオトヒメエビ
クメジマオトヒメエビ

川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部