期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビカニガイドブックインサイドストーリー 第9回

忙しいお盆休みが来る前に、書き始めました今回の原稿ですが、隣では次猿(男)のレイが「久米島祭りにはデカレンジャーが来るのか仮面ライダーブレイドが来るのか?」と真剣な表情で教えてくれっとせがまれ、長猿(男)のフウタは、「いくらお小遣いをくれる?」と、映画の「ネゴシエィター」のごとき、とてもシビアな交渉のテーブルについてくれと催促されながら、「うるさい〜!!」と、次々に薙ぎ倒しながら原稿に向かっています(笑)。今回はカンザシヤドカリをテーマに少しお話しましょう。

カンザシヤドカリはコモンサンゴやハマサンゴなどの塊状のサンゴにカンザシゴカイが作った石灰質の棲管に住み、潮流に乗って流れてくる動物性プランクトンなどを触覚でキャッチし捕食しています。たま〜に、サンゴのポリプがキャッチしたプランクトンも横取りして食べているようです。久米島で見られるカンザシヤドカリの仲間は他にニシキカンザシヤドカリがいますが、ニシキカンザシヤドカリの方が外海の潮流の速い所に多いのに対してカンザシヤドカリは何処にでもいるという感じです。種類間の生息状況としてはニシキのほうが少数なので、ちょうどハタタテハゼに対するアケボノハゼやシコンハタタテハゼのような位置づけなのでしょう!?

棲管は成長と共に多少変える事もあるようですが、よほど身体のサイズに合わない限りだいたい一箇所に留まっているようです。ただ、ニシキカンザシヤドカリはカンザシヤドカリより大きくなる為か、カンザシヤドカリがイバラカンザシの作った棲管を利用するのに対して、ニシキカンザシヤドカリは別のカンザシゴカイの仲間(オオナガレハナカンザシ?)の棲管に住まいを変えている(多分!?)のを見る事があります。このカンザシヤドカリの仲間達、何が良いかと言えば、その周りのサンゴの色合いに依って色々なバリエーションで楽しめ、サンゴの色合い如何でフォトジェニックに何パターンも撮影したくなる所でしょう。しかも、夏場の凪の続く日の水深5メートル前後の浅いところで心置きなく「あ〜でもない、こ〜でもない!?」と試行錯誤しながら撮影&観察出来るのはもう「さいこ〜です!」(注・ちなみに僕は雄輔さんと同じ少年時代から根っからのジャイアンツファンです)。毎年浅い水深では必ずと言っていいほど起こるサンゴの白化現象と相まってその淡い彩りは本当にもう「さいこ〜です!」(頑張れしんのすけ!怪我もあったけど久米島から応援してるぞ!!)。繁殖行動などは、以前、研究者の方から聞きましたが、台風で砕けたサンゴにカンザシヤドカリが入っていたため、水槽内で観察したところ、夜間徘徊しているのを確認したそうなので、夜、棲管から出て行われているのでしょう!?

揉み手をするような感じでハサミ脚をお手入れし、時たま頭上を通る魚達に脅えながら、日々捕食と棲管の掃除を繰り返す彼等、春から秋にかけて繁殖を繰り返し抱きかかえた卵から幼生がハッチアウトする。日中は棲家からほとんど外に出る事なくそこから望む景色だけが彼等の世界。その世界の中で彼等はいったい何を考えているのだろう!?


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部