期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビ・カニインサイドストーリーから続く海の事色々! 第13回

ニザダイ科の魚はペアではなく、集団で放精放卵する仲間が多い。

シマハギ・ゴマニザ・スジクロハギ・サザナミハギなどのそれを目撃した事がありますが、夕方の陽の光の弱い時間帯、透明度も少し濁り気味の中、何処からともなく集団で現れ、多い時には数百匹〜数千(?)にも群れる。集団での放精放卵、人間で言うと乱交みたいなものであるかもしれないが、魚達がより多くの受精卵を作る為、より多くの子孫を残す為に編み出した繁殖行動でしょう。

グループ・スポーニングと言われるその行動は、見るものを圧倒させる迫力があります。そして、その一つの繁殖行動だけでも圧巻なのに、他の生物との食物連鎖やしいては他の生物の繁殖行動をも活発にさせる要因があるように見受けられます。

写真の一枚目はサザナミハギの集団での放精放卵中の画像ですが、2枚目の捕食中のクマザサハナムロの群れは、サザナミハギ達が放ったあとの卵を食べているところなのです。こっちで放精放卵したと思ったら、クマザサハナムロが集まってきて食べ荒らし、向こうで放精放卵したら、そちらに移動しそれらを食べ荒らす。十数匹で放精放卵してる程度なら、そんなに目立たないから、すぐに食べられるという事もないのですが、なにせ数百匹というような多い数で放精放卵していると目立ってしまうのでしょう!すぐにクマザサハナムロの群れなどが押し寄せてきます。

コガシラベラの集団での放精放卵後の潮流のすぐ下でそれを待ち受け食べるゼブラハゼの集団にも驚きですが、このクマザサハナムロの群れにもビックリです。食べる為に固まって溜まるのでクマザサ玉になりますし!?そういう事を繰り返すうちに、それに触発(?)されたヒレナガヤッコなども雌に対して雄はディスプレイし、発情(?)した雌は雄の体にキスし始めるのです。同じ時間帯でも50m離れたエリアではこのようなヤッコの行動は見られません。やっぱり周りが盛り上がっていると他の生物も触発されてしまうのかもしれません!?

こういう光景を幾度となく目の当たりにすると、諸々の事柄が僕には連鎖して見えてくるのです。海中ではある生物の縦の繋がりだけではなくそれを要因にして起こる他の生物達との横の繋がりもまた見逃せないのです。


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

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BY 編集部