期間限定 スペシャルトーク 豪海倶楽部  

エビ・カニインサイドストーリーから続く海の事色々! 第1回

さて、今回からは新コーナーというか、エビ・カニインサイドストーリーに続いて、海洋生物や海のこと、島の事を好き勝手に書かせて頂きます。「ツヨシの好きにすりゃいいじゃん!!」っと、まったく無責任に(?)御快諾くださった雄輔さんには大変感謝しております・・・・・大丈夫かいな(笑)!?

さて、写真にもあるとおり今回はイシフエダイの事を少し。写真の色合いは婚姻色時の色合いです。でもしかし、何もエッチな事を考えてる時だけこの色合いに変わる訳ではなく獲物を狙う時にもこの色合いに変わる事もあります。要するに興奮してアドレナリンが分泌されるとこのような色合いの変化が起こる訳ですが(多分?)、通常は薄いグレーのいわゆる普通の魚色をしたこの子は、獲物を狙う時には、その時その時、場面場面に応じて色合いを微妙に変化させます。

潮流に反応して群れるハナダイやスズメダイを狙う時には、群れにほぼ平行に構え、狙った生物に対して全速力でダッシュし捕獲する。読者の中には、たくさんいる魚達を適当に狙っていると思っている方々も多いと思いますが、さにあらず!魚の視覚も他の動物と同じで、左右の眼でそれぞれ集めた情報を脳で処理しその対象物との距離感などを測定しています。そして狙った対象物に突き進む訳ですが、小さい生物達の中でスカシテンジクダイように群れる習性があるものは、群れる事によって個々を捕らえられる事を防ぎ、なおかつ襲ってきた敵に対して、その時群れがバラける事でロックオンされづらくしているのです。もちろん、狙う方も、その時出遅れた生物や動きの鈍い生物にターゲットを変え襲う事も多々ありますが、適当に狙って攻撃しいる訳ではないのです。

イシフエダイは、獲物を襲う前に、ゆったりと泳ぎながら写真の色合いになったり、身体に割と太目の横線が何本か入ったりします。ダイバーから見てそれが襲う前の合図にも成り得るので、今度じっくり観察してみてください。解り辛いのが白い岩盤状の棚上で、生物を狙う時なのですが、棚上で潮流に乗って流れてくるプランクトンを捕食しているゼブラハゼやクロユリハゼの仲間達に狙いを定め、体色も棚上の色彩に合わせ、擬態のごとく白っぽく変化させるのです。棚上の上空に舞う獲物達に低空で近寄り、横移動から一気に上昇し襲うのです。その様は、レイダーに掛からないように海面近く飛びターゲットに近づくと一気に上昇しロックオンし相手を撃墜するミグやファントムのごときです。おまけに体色を周りの環境に合わせて擬態してるからステルス戦闘機の要素もあるし、こんな凄い攻撃を受けたらイチコロみたいですが、ハゼ達もさるもの、なかなかなのです・・・。

ある日、この場面を幾度か目撃している僕は、雄輔さんに思っている事をぶっつけてみた。「イシフエダイの名前の由来って、獲物を狙う前に石に擬態する事からきてるんじゃないですかね・・・?」。僕と同じように幾度かその場面を目撃している雄輔さんだが、「そりゃ〜、違うんじゃないの!?和名の由来は解らんぞー!」。

一部の方々には、大変意外かもしれないが、実は私、けっこう権威に弱い。幼少にみぎりから青年時代はともかく、歳を重ねるごとに最近は長いものに巻かれっぱなしである(泣)。先祖はおそらく一揆ののムシロ旗を振るタイプでなく、悪代官におもねるタイプであったろうと思われる。雄輔さんが何も悪代官と言ってる訳ではないが、何しろ吉野雄輔氏である。一見、いいかげんに見え、油断するとすぐ唄を歌い出し、水中ではカメラを2・3台持ち込み、邪魔になったらその辺にポイとやったり、話すと何処までが本気なのか解らない時もあったり、他人の弱みを数々握り、酒を呑むと・・・。

とまあ、人間いろいろあるが(ごめんなさい、雄輔さん)、数々の写真集を出し、多数の生態図鑑にも写真を提供し、「海洋生物の図鑑を作るなら、吉野さんのところに行けばだいたい揃う」とまで編集者に言わしめ、ここ数年では、普通の水中カメラマンがおそらく絶対に手をつけないであろうガイドダイバーのごときテーマの幼魚の成長段階について「生命の星地球博物館」の瀬能先生と意見を戦わせている自然写真家なのである。僕は、僕の思い込みを飲み込んで、声も急に文化人的バリトーンになって、「やっぱりそうですよね。私もまさかとは思ったのですが・・・。」っと、それ以上の主張はせず無難な受け答えで話を終わらせた。今度、イシフエダイの論文を取り寄せて調べてみねば!?


川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

沖縄・久米島

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BY 編集部