ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

予告ヒット

昨年、最大瞬間風速の島内記録(65.8m/s だったはず・・・)を更新した為か、台風が遠慮してるような久米島です。沖縄地方は急速に発達してやってくるので甚大な被害を被る可能性が大きく、妖しい低気圧ができると、日に最低10回は天気予報を見て備えます。しかし現状の海面温度は31℃。。そろそろ高水温が牙を剥きだします。国際サンゴ礁年、出鼻を挫かれるような白化は願わくばしてもらいたくはありません。だから来ないのも本当に困りものです。

さておき今回は予告ヒット(ブリーフィングとの整合性)!あらゆるモノの”煌きの瞬間”を伝えるうえで、とても重要な前置。それは裏打ちされたバックボーンを持たずして完成させることはできない離れ業で、レアモノ・旬モノに限らず、フツーにいる魚達でさえもこの業で導くことにより大なり小なり感動を引き出すことができる。時として返ってくる反応が薄い場合や、また誰からも持て囃されなくても、(ゲストニーズを裏切ってますが)この業を使うことは誇らしげなもので、完遂した瞬間は自然に笑顔がつくれます、結局、自分が楽しいわけですが、生態・天候・水温・干満・潮汐・時間・移り変わり具合などに思考をフル回転させ、カッコいい〜予告ヒットを連打できれば(数打てば)、エキジット後には共感の声が聞こえるのです。。。

だから確率云々ぬきで、過度の予告でなければ使いまくって可能性を示唆するのです。

上の写真は、そんなやみくもに打つ予告が、ホームランとなり、発見したザンジバルボクサーシュリンプ(Stenopus zanzibaricus)。最近、ホワイトソックス(久米ではレアもの)がお気に入りで良く予告します。勝率は同棲するゴマウツボ(ココ最近の場合ですが)の気分に大きく左右されるので50-50といった具合でしょうか、あまりあてになりません。

幸いこの日は余裕でヒットし、ただ個人的趣味で、やたら念入りに潜んでる穴を覗いてるとこの子がでてきました。おまけに証拠写真はまだないのですが紫色の体に頑丈班(誤字は大きさのイメージです)のテッポウエビの1種(Alpheus SP・・・Helmut Debelius のCrustacea guide of the worldの147P一番下)までもが同じ穴に!!

こんな突然の出会いは、予告なんてとんでもないですが、観察を続けると確率が上がってきました。あした居るかどうかの保証などありませんが、ちょっとコアなこのエビとの出会いを予告できるといいなと思います。ただ”忍耐”いりますよ〜写真にするのに2ヶ月かかりました(笑)Alpheus SPは来年かもです・・・

少し夏バテなので、涼しい風景が欲しくて、4年越しで目指してみた島の観光名所『上江洲家』、代々地頭を勤めた旧家で、「石垣殿内」と呼ばれている屋敷構えは、気の利いた?理に叶った?・・・いや『宇宙でも想像して造ったのか』と、造り手の意図を疑わざるえないほど、随所に垣間見れる工夫は関心を通り越して心が洗われる気がします!現在はご覧のように”凛”とした静寂さで、涼しさを感じさせますが、地頭として綿糸やお茶等の栽培促進、紬の製法普及、貧民の救済、国王への献納など、成し遂げてきた数々の善行は今尚熱く語り継がれ、外れる予告に負けぬよう背中を押してくれます(笑)


堅田
堅田 純平
(カタタ ジュンペイ)

1976年10月16日生まれ
高知県須崎市出身

海山県に生まれながら、クラゲが嫌いで故郷を出るまで海と向き合ったことがなく上京先のコンクリートジャングルの中で、不順な動機から最初のひと雫に出会う。しかし、純粋に海に秘められた様々の可能性を手にしたくなり、覚悟を背負って26歳で久米島へ、ガイド業へ、苗字の印象はあまりにも堅いが、どんな海にも、そして人にも柔軟に接し、海を背景とした生命体のlocus&miracleを(辞書を引いて背伸びしてます)やさしく伝えていきたい願う。

沖縄・久米島

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