南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

孤高の道を進め!ROCKなヤツよ...II

先月はただ単なるコンビクト・フィッシュ(コンビクト・ブレニー)の説明のみに終わってしまったので、今月は「如何にコンビクト君が孤高の道を歩むロックスターなのか?」を説いてみたい!?ということで早速いつもお馴染みの「コンビクト君の成魚」に登場してもらおう。

まずは、なぜコンビクト・フィッシュが「孤高の道」なのかである。どうやらコイツ「1科1属1種」、つまり他に全く仲間のいないタイプの魚のようなのである。この時点でもうすでにかなり“孤高度満点”である!?おそらく大昔には同じような風貌で似たような生活形態を持つ魚がいたのだろう、しかし長〜い年月を経て淘汰に淘汰を重ねた結果、コイツだけが生き延びたに違いない。もしくは、他の仲間たちは我々が目にすることの出来る環境ではない場所に生活拠点を移したのかもしれない...。いずれにせよ、現在我々が知りうる魚類の中では“超”がつくほど異端な存在となっていることは確かである。

さて、ロック界においてコンビクト君を髣髴させるようなあまりにも孤高な道をひたすら突き進み続けた男がいる。いや、いたのだ!!!ここに紹介しよう、その人物こそ「クラウス・ノミ」その人である。一体どんな人物なのか簡単に説明すると、1944年ドイツで生またクラウス・ノミはオペラ歌手としての訓練を積み、1972年にニューヨークに移り住む。コックの仕事をしながら、マネキンのパフォーマンスなどで生活をしていたが、ほどなく、ニューヨークのライヴハウスに出演するようになる。真っ白に厚化粧し、奇抜な服装を身にまとい、カウンターテナーでアリアからポップ・ミュージックに至るまで、オリジナル楽曲と風変わりなアレンジでカヴァーした楽曲を披露し、アンダーグラウンド・シーンであっという間に注目を集める存在になった。その噂を聞きつけたデヴィッド・ボウイが彼にコスチューム・デザインと「サタデー・ナイト・ライヴ」出演の際のバック・コーラスを手伝ってくれるように依頼。その番組へ出演したことによって、より一般に注目されることとなった。

さて、なぜオレにとって「コンビクト・フィッシュ」と「クラウス・ノミ」が被ってイメージされてしまうのか?いったいどんな相似点・類似点が彼らにはあるのか?重要なポイントは2点に凝縮されるがその辺を紐解いてみることにしよう。

第一のポイントとして彼らの孤高性である。コンビクト・フィッシュに関しては先ほど述べたので今度は「クラウス・ノミ」についてである。特筆すべきは「オペラとロックの融合」という彼の音楽性である。確かに似たような試みを実験していたアーティストは少なくない、ロックにオペラの形式を持ち込んだ“クイーン”や“The Who”などが有名であるが、彼らのスタンスは「ロックからオペラへの歩み寄り」であった。それに対してクラウス・ノミはオペラの技術的手法、歌唱法やオペラの楽曲をロックに持ち込んだわけで、つまり彼のスタンスは「オペラからロックへの歩み寄り」であり、その結果“ロック界の超異端児”として全く前例のないタイプのサウンドを生み出すこととなったのである。

次に第二のポイントだが、それはそのルックスにある。コンビクト・フィッシュの顔つきと言えば「クリクリまなこ」と「大きな口」、そして全体的な風貌から漂う怪しい雰囲気である。ではクラウス・ノミはと言えば...似てねぇじゃん!!!と言われそうだがよく見ると「クリクリまなこ」である。さらに、上の絵では口を閉じているが元々オペラ出身の彼、いざステージに立って歌うとなるとその口は大声量を発声するがゆえ巨大に開かれるのである。その姿たるや、まさに巣穴を掘り、砂やサンゴ礫を勢い良く噴出すコンビクト・フィッシュそのものである!!!そして、全体的な風貌から漂う怪しい雰囲気にいたってはクラウス・ノミの方が圧倒的で、コンビクト・フィッシュのそれを完全に凌駕している...。しかしながらやや気になるのは両者の顔の色、コンビクト・フィッシュが真っ黒なのに対してクラウス・ノミは真っ白なことである。まあ、お互い両極端であると言う意味においては同様であるのだが...。ということで補足として両者の色を反転させた「クラウス風コンビクト&コンビクト風クラウス」を作ってみたので参考にしてほしい(何の参考にじゃっ!?)。

最後に、クラウス・ノミは1983年夏、39歳の若さで短い人生を閉じた。まだエイズが「ゲイの癌」として忌み嫌われていた80年代初頭であり、著名人第一号患者として、誹謗中傷にさらされるなかでの非業な死であった。彼の遺灰はヘリコプターによって上空からニューヨーク中に撒かれたということを付け加えておこう。

ところで、こんなこと考えながら魚と付き合ってるのってオレだけ・・・?ということでまた来月。


五十嵐
五十嵐“Garuda”一規

1968年11月29日生まれ
横浜市出身
射手座 申年 RH+O型

バンドマン、大道具、そしてダイバーへと転身した変わり種。昆虫・プロレス・甘い物が大好きな現役ハードコア・パンクスだが、バーボン片手にロックを聞きながら毎夜繰り広げられる魚談義はいたってマジメとの噂・・・。秘密結社「赤い魚団」代表。

フィリピン・セブ島 リロアン

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