南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

WATCHER OF THE SKIES

先日、こんな光景に出くわした。

時間は午後2時を少し過ぎたころ、天候快晴、気温31℃、水温29℃、風無し、波無し、うねり無し、水面は鏡のようにベッタベタのベタ凪、エキジットしようと浮上してきた時、水面に「トビウオの幼魚」を発見!!いつものモノよりもフタまわりほど大きな個体であった。

普段、停泊中のボート上から水面を見ているときにゴミと一緒に流れてくる「トビウオの幼魚」を目にすることは多いのだが、水中にいる時に彼らと出会う機会はそう多くないのだ!! で、思わず夢中になってシャッターをバシバシ!! 追いかけてまたバシバシ!! 一人だけボートからかなり離れたところまで泳ぎさらにバシバシ!! ボート上からオレのことを眺めていたゲスト及びボートマンたちは、その不思議な光景にさぞや「何しとるんじゃ!アイツは・・・?」と思っていたことだろう。

部屋に帰り「いや〜今日は思わぬ収穫があったなぁ〜」などとわくわくしつつ、PCにて画像をチェック・・・、しかし事はそう上手く進まないものである。あまりに夢中で慌てまくって撮影したため、殆どの画像がオレの吐いた泡と、その泡によって出来た波の影響でわけの分からない画になっていた・・・。そんな中、数枚生き残ったカットが今月のテーマである。

皆さんはこのカットを見て、どんな印象・イメージを受けるだろうか?おそらく殆どの人が「空」や「鳥」などのイメージではないだろうか?実のところオレもそうである。「お〜ぉ、天高く馬肥ゆる秋の空を行く鳥って感じじゃ〜ん!?」ってなところである。しかし、問題はその次だっ!(と言うほどの問題でもない)。

このカットを見て、どんな曲が頭に浮かぶだろうか?

おそらくこの問いに対しても、かなり多くの人がこの曲を思い浮かべたのではないだろうか?「三橋美智也」氏の「夕焼けとんび」である。何っ?知らないだとっ!? 絶対知ってるって!! 『と○びがくるりと・・・』というヤツだ!!!

作詞・矢野 亮、作曲・吉田矢 健治の両氏による昭和33年(1958年)のヒット曲である(らしい・・・)。この牧歌的で日本的叙情あふれる名曲のワンフレーズが頭に浮かんだ人は少なくないはずだ。

しかし、実はこの曲、後半に進むにつれかなりダーク系ファンキーで、厳しい歌詞へと展開していくことはあまり知られていない。3番の歌詞などその最たる部分で「俺のことをだまして置き去りにした兄ちゃんのバカヤロ〜」風な歌詞は何とも恐るべき昭和30年代前半と言うべきか・・・。

で、「夕焼けとんび」の解説はいいとして(ここまで書いて“いいとして”かよっ!)、多くの人がこの曲のフレーズを頭に浮かべたかどうかは別として(おいっ!さらには“別”かよっ!!)、オレの頭の中には全く違う曲が鳴り響いたのである。

「空」というイメージは同じではあるものの、オレの思い浮かべた曲は「WATCHER OF THE SKIES」というピーターガブリエル(ゲイブリエル)在籍時代の初期ジェネシスの名曲で、1972年発表のアルバム「FOXTROT」や翌年発表のライブ・アルバム「LIVE」でのオープニングを飾る曲だ。

魔法の楽器“メロトロン”による、あまりにも大胆で、かつ荘厳な響きのオーケストレーションから始まり、徐々にフェードインしてくるドラムとギター・ベースのユニゾン、そしてフレーズをビシッと決めた後に入ってくる教会のミサを髣髴させるようなオルガンサウンドに乗って登場する「空の傍観者」、「空から傍観する者」ピーターガブリエルのボーカル・・・。

このような壮大なイメージの曲が頭に浮かんだのは、この曲が持つイメージやタイトルからだけではない。実はこの曲をステージで演奏する時“空の傍観者”ことピーターガブリエルは頭に大きな翼の付いた「かぶりモノ」を着用して登場するのだっ!!その翼こそ例の「トビウオの幼魚」の鰭そのもので、これこそがオレの頭にこの曲を鳴り響かせた最大の原因なのである。

だからと言って、同じように翼状の鰭を持つ「セミホウボウ」や「ミノカサゴの仲間」ではダメなのだ。なぜなら彼らの飛翔(?)は“空の〜”と言うにはあまりにも低空飛行しすぎている。では、翼は無いものの同じように水面を飛ぶように泳ぐ「サヨリやダツの仲間」はどうなのかと言うと、これもやはりペケである。あの腰をクネクネさせて泳ぐ姿(本当にそうなのだ)は、全くもってピーターガブリエルのイメージではなく、「サンディー&THEサンセッツ」結成以前のソロ時代のサンディーと言うべきか・・・(さすが元フラダンスの先生!)。

と、またもやあまりにもかけ離れた世界へ皆さんをお連れする不思議な旅へ出かけそうになってしまったのでこの辺にしておこう。

もう一つだけ言うならば、我々がダイビング中に水面を誰にも気付かれずにスイーッと泳いでいる彼らこそが、まさに「空の傍観者」「空から傍観する者」、“WATCHER OF THE SKIES”と言えるのではないだろうか。ちなみにこれは、話をダイビングに戻す為に今無理やり考えた単なるこじ付けである...。

ところで、こんなこと考えながら魚と付き合ってるのってオレだけ・・・?ということでまた来月。


五十嵐
五十嵐“Garuda”一規

1968年11月29日生まれ
横浜市出身
射手座 申年 RH+O型

バンドマン、大道具、そしてダイバーへと転身した変わり種。昆虫・プロレス・甘い物が大好きな現役ハードコア・パンクスだが、バーボン片手にロックを聞きながら毎夜繰り広げられる魚談義はいたってマジメとの噂・・・。秘密結社「赤い魚団」代表。

フィリピン・セブ島 リロアン

VILLA TROPICAL PARADISE

Lower Lo-oc, Lo-oc, Santandesr, Cebu 6026 PHILIPPINES

Tel/Fax:+63-(0)32-480-9035

villa-tropara.com
blog.goo.ne.jp/1wgp-liloan
garuda@villa-tropara.com