南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

Keep the Faith !!

「オニツノハゼはロックだっ!!」と断言する。

一口にロックと言っても様々なスタイルがあるのだが、「オニツノハゼ」の場合、ハードロック系である。それも、より重量感と様式美を重んじる“ヘヴィーメタル”である。

まずはその姿を見ていただこう。ハゼ・マニアのバイブル!「決定版・日本のハゼ」のP.289「ホタテツノハゼ属の1種-1」に対する正式和名が「オニツノハゼ(Flabelligobius smithi)」である。

大型のトカゲを連想させるようなこの厳つい顔、鎧をまとったかのような縞模様の体色、そして何より特徴的で攻撃的な印象と、何か中世の武器を髣髴させるような形状の第1背鰭。それだけならまだしも、コイツかなりデカイ!当地リロアン周辺地域で今まで見られた本種の中で最大のものは体長200mmを超えているからスゴイ。さらに、さらに、共生しているテッポウエビの仲間もデカイ!?この大きさとあまりにも特徴的な体型、体色、模様、これらのことから“「オニツノハゼはロックだっ!」と言うことなんだな!?”と察することは容易である。

しかしながら、オレの考察はそんなに浅くない!甘くない!

上に書いた体型や体色、大きさ等からの印象というのもまんざら間違いでは無い。しかしながら、それだけならばわざわざ“ヘヴィーメタル”に限定しなくてもよい筈。例えば「あの体色は革ジャンをキメた“ハードロッカー”の姿」のようだという意見がある(!?)しかし背部を良く見ると横縞模様と一緒に黒い斑点が整然と並んでいることが見て取れる。すなわちこれは「革ジャンに打ち付けた金属の鋲(ビョウ)」をイメージさせる。“ハードロッカー”は革ジャンに鋲を打たないのだ。

ならば「鋲と言えばパンクじゃん!?」という意見も(!?)。なるほど、革ジャンに鋲と言えば「G.B.H」や「ディスチャージ」に代表される“UKハードコアパンク”っぽい・・・、やや不明瞭で不規則な横帯模様などは“パンクス(パンクのヤツら)”の愛用する破れたジーンズ(ブリーチ仕様)にそっくりでもある・・・。

ところがここに来て問題が発生するのだ(そんな問題って程のことじゃぁないけど・・・)。 それは彼ら「オニツノハゼ」の性格である。こんな強面の彼らだが実は非常に臆病な性格で、大きな個体であればある程その性格は顕著である。彼らの存在に気付き、カメラをそっと構えようとしただけで巣穴に引っ込む個体も珍しくない程だ。つまり「オニツノハゼ」はビビリである、もとい、臆病である。

しかし先ほど例えに出した“パンクス”は非常に自意識が強く、好戦的で攻撃的なパフォーマンスでメッセージを叩き付けてくる。となると容姿はそれっぽくても性格的には全く逆なので「オニツノハゼはパンクだっ!」とは言えない。パンクスにビビリはいないのだ!ブチ切れは多いが・・・!?

そこで出てくるのが“ヘヴィーメタル”である。それもハードロックの流れを汲んだ正統派と言われる“ヘヴィーメタル”である、いや愛を込めて“ヘヴィメタ”と呼ぼう。彼らは一見非常に攻撃的で暴力的っぽく見られる、勿論鋲も打っている。しかしそれは彼ら特有のファッションで“パンクス”の実用的な“それ”とは趣が違う。“ヘヴィメタ”の人の多くは真夏でも鋲付革ジャンを着ているが、満員電車では迷惑を掛けないよう脱ぐ。 コンサートの途中あまりのノリに勢い余って隣の人にぶつかった時は、お互い「あっ、すいません」と声を掛け合うのが礼儀である。

つまり「見た目怖いけど、話してみると意外と真面目で気が小さい」の代表格が“ヘヴィメタ”であると言っても良いだろう。しかし、気は小さいが何故か体はデカイ。

そんな“ヘヴィメタ”の中で特に「オニツノハゼ」のイメージと被るのが、イギリス出身の超正統派バンド「ジューダス・プリースト」である。もう、このバンド名を聞いただけでも怖そうで悪そうだ。そのジューダス・プリーストのヴォーカリスト「ロブ・ハルフォード」この人こそ「オニツノハゼ」そのものである(そのもの?)。

条件(1)の鋲付革ジャンは当然のようにクリア、革ジャンだけでなくリストバンドやグローブ、ベルト、ブーツも鋲だらけ。それも1970年代初頭から・・・。

条件(2)の「意外と真面目で気が小さい」に関しては歌詞を読めば一目瞭然、特に彼の場合「信念を持て!」「友情に答えよ!」など熱い歌詞が多い。暴力的な歌詞も時折あるが後半にフォローが入る。

さらに彼はコンサートの途中でハーレーダビッドソンに跨って登場してくるシーンが必ずあるのだが、その姿などは「オニツノハゼが巨大なテッポウエビと共生している姿」そのものであるのだ!!!

ここまで書いて思わず「本当にそんなハゼだったっけっか?」と言う気がしてきたのでこの位にして、ちなみに1980年代中ごろの作品「復讐の叫び」や「背徳の掟」などの頃が最も“オニツノっぽい”ので興味のある方は是非一度聞いてみて欲しい。またこの頃のステージもなかなか趣があり、往年の「グリーン・マナリシ」や「リヴィング・アフター・ミッドナイト」などを激唱している姿はまさに「オニツノ・オンステージ」なので必見だ!?。

ところで、こんなこと考えながら魚と付き合ってるのってオレだけ・・・?ということでまた来月。


五十嵐
五十嵐“Garuda”一規

1968年11月29日生まれ
横浜市出身
射手座 申年 RH+O型

バンドマン、大道具、そしてダイバーへと転身した変わり種。昆虫・プロレス・甘い物が大好きな現役ハードコア・パンクスだが、バーボン片手にロックを聞きながら毎夜繰り広げられる魚談義はいたってマジメとの噂・・・。秘密結社「赤い魚団」代表。

フィリピン・セブ島 リロアン

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