ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

ヘビギンポ偏愛(30)

とうとう30種目に入った。

どの図鑑を見ても、ヘビギンポなんて数種程度しか載っていないけれど、実は沢山種類はいて、単に認識されていないか、見分けが難しいので正確性を求める図鑑には載せられないのだ。

つまり図鑑に載っていないからといって、稀種や珍種というわけでもなく、大抵のヘビギンポは超普通種だったりする。。。

【セグロ似その2(ヘビギンポ属の一種10)】

前回、屋久島で見られる”一見セグロヘビギンポ風”の子のうち、-20m以深で見られる連中を紹介したが(⇒セグロ似その1(ヘビギンポ属の一種9))、これに対し-10m以浅の浅場で見られる”一見セグロヘビギンポ風”の子はこの子だ。


通常体色のオス?もしくはメス?

これは僕が「浅場タイプ」と言っている”一見セグロヘビギンポ風”の子なのだが、屋久島では-15mぐらいまでの水深で見られ主な生息水深は-5mぐらいだ。

前回紹介した「深場タイプ」の子とは絶対に別種なのだが(自信アリ)、現在セグロヘビギンポ(前に紹介済み)として認識されている子と別種かどうかはまだよく分からない。。。(-_-;)

通常、ヘビギンポのオスの婚姻色は種ごとに固有とされているのだが、セグロヘビギンポのオスは繁殖期、真っ赤に染まる。

ところが、屋久島でよく見かけるこの「浅場タイプ」のセグロ似の子の婚姻色は緑色なのだ。

セグロヘビギンポのような真っ赤な体色のオスは見たことがない。


屋久島で見られる「浅場タイプ」の婚姻色

「セグロ」の名前の由来になっている”背ビレが黒く染まる”のは一緒なのだが、あとはまったく違うから混乱してしまう。単に環境によって体色が違うだけなのか、もしくは地域変異の可能性もあるが、どうしてもセグロヘビギンポと同じ種類には見えない。。。(-_-;)

さらに通常時の体色も、これまで八丈島などでセグロヘビギンポとして認識していた子たちよりもかなり地味なのも気になる。。。八丈島でセグロヘビギンポと呼んでいた子たちは、顔の近辺に金色のラメが入ってキラキラした綺麗なヘビギンポだったので通常体色でも好んでカメラを向けるダイバーも多かった。

しかし、屋久島の「浅場タイプ」は、カメラを向けるのもちょっと抵抗があるくらい地味なヘビギンポなのだ。(笑)

この辺はもう感覚の世界で、形体を比較しているわけではないので、素人臭いかなり怪しい分類なのだが。(笑)

このヘビギンポも現在、鹿児島大学の研究者が比較検討してくれていて、結果が楽しみ♪

いずれにしても、この”一見セグロヘビギンポ風”のヘビギンポは国内だけでも何種類(ほとんどすべてが未記載?)かいるような気がしている。この手のヘビギンポはどれも小型種なのだが、きっとどれも数は多いので、その気になれば誰でも見つけることができる。

皆さんも未記載(新種)を発見してみませんか?
新種は必ずしも珍しい魚の中にあるわけではないのだ。

ヘビギンポのデータベース ヘビベース!


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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