ガイドのつぶやき 海辺のエッセイ 豪海倶楽部  

普通種ウォッチングの勧め(2)

高校生の頃、クラスでも目立たない地味で垢抜けていない女の子を、休日たまたま街で見かけた時、かなりビックリした事がある。街で見かけた彼女はとてもセンスのいい綺麗な大人の女性だった。。。次の日から、彼女の事が気になってしょうがなかった事は言うまでもない。。。(笑)


普段からとても目立つ人が目立った事をやるよりも、普段はまったく目立たない人が突然目立つ事をやった方が際立つし、興味もそそられる。特命係長・只野仁は昼間は仕事も出来ず寝てばかりのダメ社員だが、夜は会長の特命を受けて忍び寄る悪を退治するスーパーサラリーマン! だからカッコいいのであって、昼間はかなり優秀なデキる社員で夜もスーパーサラリーマンなのでは、僕的にはイマイチ。。。って言うかそんなヤツは嫌いっ!(笑)まぁ、逆に普段はメチャクチャ明るく目立ってて、プライベートでは控えめで静か。。。ってのも、かなり意外性があって面白いけど。

普通種ウォッチングの面白さのひとつにこの「意外性」がある。ホムラハゼやアケボノハゼなどの派手さを楽しむといつかは飽きがくる。いつでも派手な魚よりも、いつもは地味な魚が婚姻色で急に派手になる方が驚きは大きいでしょ? この「意外性」があるから普通種ウォッチングは楽しい♪

この魚はどこのどなただと思います?

あっ、図鑑を見てもいいですよ。。。伊豆などの温帯域では季節回遊魚として秋頃に幼魚が見られる程度かもしれませんが、紀伊半島以南ではごくごく普通に見られる魚なのですが。。。もちろん、図鑑にも載ってま〜す! さて、この写真を見て何人の方が名前を言い当てられるだろうか。。。?

これはキスジキュウセンという魚なんだけど、図鑑などには載っていないオスの求愛時の体色。幼魚やメス、そして普段のオスなんかはとても地味だしウジャウジャいるので、ガイド中、特別こいつを指して紹介する事なんてまったくない普通種。プライベートで潜ったって、まず無視して通り過ぎていた。

その日も一ヶ所に集結してくるキスジキュウセンたちに不思議さは感じつつも、その日の目的でもあったある「いつでも派手な魚」を必死に追い駆けていた。ところが何かの拍子に、みるみると派手なドギツイ体色に変わっていくキスジキュウセンのオスを見た時、あまりの驚きに目が点になってしまった! 気づくと、それまで追い駆けていた「いつでも派手な魚」の事はすっかり忘れ、この綺麗なキスジキュウセンのオスにシャッターを切りまくっていた。見たい、見たいと思っていたレアな魚を見つけた時のような、いやそれ以上の驚きを僕に与えてくれたのだった。


原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。
巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島

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