ゆうすけ的エッセイ 豪海倶楽部  

海牛

人気のウミウシは、2本のツノがあるから海の牛という名前をもらったそうだ。さて背景のまったくない写真で、被写体の美しさのみに、テーマをしぼった写真ですが、じつは、このシリーズで写真集を作ろうと、すでに1冊分以上撮ってある。こんな、小物の撮影は簡単だけど、サメとかイルカとかエイなんかの、背景を黒くするのは、夜撮るしかないので、ずいぶんと大変な作業だった。

時代は流れて、こういう暗い写真の好きな人も少ないし、なによりデジタル化して普通に撮影した写真から、作り出すのもそんなに難しくない。中には撮影したほうが簡単というのもあるけど、サメを夜撮影するのよりは、作った方が簡単だろう。少なくても安全だ。

デジタル化で写真の価値も多少は変化するんだろうね。夜の闇の中から、サメがすっとんでくるなんていう、体験はなかなかやった人じゃないと、感じれないだろうな。

でも今だったら、そんなヤバイめにあうより、デジタルで作ろう!とか思うかもしれない。便利になると、人間は失ってしまうものも、あるんだろうね。


Yusuke
吉野 雄輔

水中写真家


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