南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

月周り


最近お客様からのお問い合わせで多いのが「満月狙って行きたいんですけど○月だったらいつ頃がいいですか?」と、いった内容のもの。

そうなんです、ここペリリューはおそらくミクロネシアではぶっちぎりNO.1で月によって見られる魚が変化する海なんです。その筆頭格が毎月満月前に産卵のために群れるバラフエダイと春と秋の新月の前に群れるイレズミフエダイ。どちらも数千匹から時には数万匹という途方もなく大きな群れを作る魚。そして彼らの産卵シーンでは必ずといっていいほど登場する何匹ものカマストガリザメやウシザメ(ブルシャーク)など3〜5m級の大型のサメ類。この時ばかりは行った事ないけど「ガラパゴスより凄いよっ!」って言いたくなるくらいのシーンが繰り広げられています。そりゃお休みの都合がつくものならこの頃に行きたくなるのは当然と言えば当然。

ちなみにこの産卵シーン、いつどういうタイミングでどこで産卵しているかが分かったのは最近のことなんです。どちらも早朝で、僕のデータだと新月、満月に近くなるほど産卵を終える時間帯が後ろにずれ込んでいくんですが、遅いタイミングでも狙うときは朝4時半に起きて5時にお客様ピックアップ。おまけに同じ潮周りで夕方のジャーマンチャネルの捕食のマンタを狙うことができるからついついいい潮になるタイミングを待って夕方4時エントリーとか・・・もちろん日中のダイビングもあるから毎日4本潜ることに・・・ なんでここまでしてやるの?と、自分でもたまに理解不能になるけど一度このシーンを目にしてしまったらもうやめられない止まらない「かっぱえびせん」状態。止まらないどころかデータが加わるごとにどんどんエスカレートしていくんです… あー、困ったもんだ。

でもそんな我々のああだこうだなんて関係なく、気の遠くなるような昔から粛々と決まった時期に行われていたこの儀式。カレンダーを持っているわけでもないのに決まった時期に産卵を行うために集まってくる彼らの行動を目にするたびに言葉では言い表せない畏れにも似た感情が湧き上がってきます。陳腐な表現だけどやっぱり自然って凄いですね。

このシーンを何とか写真で表現できないかとあれこれがんばってみるのですが何しろ暗い… そして忙しくなるのでガイドしながらコンデジで撮影するのが精一杯。それより何より腕前が… こりゃ数打つしかないですね。あと何回このシーンで潜ればモノにできるのやら


遠藤
遠藤 学

1973年生まれの東京人

学生時代に所属していたダイビング部のOBである現オーナーにサラリーマン時代の1/8の年俸でヘッドハンティングされ、パラオに移り住んで早9年目。

七色の技を繰り出す怪しいガイドで独自の地位を築くも、年々ハードルが高くなるお客様のリクエストに応えるため日々技の開発にいそしんでいる。

次の目標はバショウカジキ。うまく魚が技に反応すると「来た〜」と、言うより「食ったぁ〜」と叫んでしまう釣りバカでもある。

ミクロネシア・パラオ

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