南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

スペシャルトリップ

6月は例年遠征のシーズンです。理由は簡単。風が弱い日が多いこととお客様が少なく人手に余裕があるから。もちろんこれはパラオ全体の話ではなくあくまでもうちの店の中での話なのですが例年この時期コロールからは北にあるカヤンゲル環礁へのツアーを作っていました。じゃあせっかくだからペリリューでもどこかスペシャルトリップを組もうかと思い立ったのですがいかんせん6月はお客様が少ない・・・

そこに舞い込んできたのがペリリュー島の東沖に新たに設置されたパヤオにクロカジキが着いているという話。パヤオとははるか沖合いの水深1000メートルを越える場所に大きな浮きを1本のロープを使って設置した浮漁礁のこと。パヤオは日本でも多く設置されていて主にカツオやマグロなど外洋性の回遊魚が着いている。たかだかロープ1本に何でこんなにも魚が集まるのか今のところ良くわかっていないらしいがどっちにしてもそんなニュースを聞いたら行くしかないでしょ!

ちなみに他のパヤオに実は以前潜った事があります。

そこは比較的島に近いところでしたが、その時はギンガメアジの子供とツムブリの子供が大量にいただけ。潜った事は無いけれどこれまた別のパヤオに釣りで行った事があって、その時はブイに船を舫い終わるか終わらないかのうちにクロトガリザメが5匹程船の周りを回りだし、ほとんどの釣ったマグロが五体?満足に上がってくる事はなくサメに齧られて一部だけが上がってくる始末。さて、今度のパヤオは一体どっちのパターンになるのか?

ペリリューの港を出て沖に向かう事1時間弱。途中GPSの電池が切れて使えなくなるという心憎い演出もありつつようやく見えてきたパヤオは日本で設置されている大型パヤオに比べるとそれはそれは貧弱なもの。けれど魚が着いているであろう事はこの周りだけ海鳥が旋回している所から想像がつく。ちなみにこのパヤオ、目印の旗はバドワイザーの広告用のもの。こういうアバウトっぽさ、パラオっぽくて結構好きです♪

さて、ブイに船を舫ったまではいいものの、みるからに流れていそう…

作戦としてはロープ伝いにブイまで行ってそこから海底に伸びるワイヤーロープを伝って潜降するというもの。当然の成り行きで僕からエントリーな訳ですがとにかくサメが…

船上で待機するキャプテンにくれぐれも釣りするなよ、魚掛けたらサメがすっ飛んでくるかもしれないからと釘を刺してのエントリー。なるべく音を立てずに入水してまずは周囲をチェック。良かった、サメはいないようです。でもなんとなくいて欲しかったようなやっぱりいなくてよかったのかもというような複雑な心境。だってサメはいないけどカジキもマグロもそしてカツオすらもいないんですもん。いるのはツムブリとギンガメの子供とモロのような細長いアジの群れ。これは以前潜った事がある方のパヤオのパターンか。それでも水深20メートルくらいまで降りてしばらく待っているとスマの群れが登場。続いてこのスマを追ってクロカジキが・・・

来ませんでした。まあ、最初はそんなモンでしょう。

2本目はパヤオ周辺をブルーウォーターダイブで流してみることに。カジキや大型のキハダなどはパヤオにタイトに着いている訳ではなく周辺を回遊している事が多いようなのだ。と、いう事はこのブルーウォーターダイブのパターンのほうが遭遇率は高い!

そして結果はといえば、久しぶりに魚を一匹も見ないダイビングをしましたよ。あーあ、やってしまいました。鳥山でも立っていればそこに潜るのも手だったかもしれないけどやっぱりサメが怖い。普段のダイビングでは4m級のブルシャークだって嬉々として追いかけているくせにと自分でも情けなくなるがなにぶん経験が少ない事なだけにしょうがない。今回の調査ではいい結果を出せなかったものの少しづつ潜り込んでパターンを見つけていけばそう遠くない内にパラオでの新たなダイビングのスタイルとして確立できるでしょう。そしてその時はクロカジキのベストショットをここに掲載できるかな〜

なんて。


遠藤
遠藤 学

1973年生まれの東京人

学生時代に所属していたダイビング部のOBである現オーナーにサラリーマン時代の1/8の年俸でヘッドハンティングされ、パラオに移り住んで早9年目。

七色の技を繰り出す怪しいガイドで独自の地位を築くも、年々ハードルが高くなるお客様のリクエストに応えるため日々技の開発にいそしんでいる。

次の目標はバショウカジキ。うまく魚が技に反応すると「来た〜」と、言うより「食ったぁ〜」と叫んでしまう釣りバカでもある。

ミクロネシア・パラオ

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