デジタル談義 その13 豪海倶楽部  

【こ】

プリンタープロファイル

プリンターを購入されたようで。

【ゆ】

エプソンのPX5500です。8万ほどでした。

【こ】

んーーー、決して安い買い物ではないですね。なんか近いうちにhp(ヒューレットパッカード)から12色インクのすごいのが出てくるようですが、今現在ではベストな選択のひとつですね。

ただプリンターはつなぐだけではプリントはできても、ベストなプリントはできないので今回はそのあたりから攻めていきましょう。

【ゆ】

そうしましょう。うちのは、まだ未セッティングです。

【こ】

カラーマネージメントという観点からは、モニターの場合と全く一緒です。出力機器の固有の「クセ」を(計測して)元データに加味して、元データの本来の「見え方」に極力近づけるわけです。その元データに加味するデータが「カラープロファイル」で、モニター、プリンターではそれぞれ「モニタープロファイル」「プリンタープロファイル」になります。

【ゆ】

ふむふむ、うちのはプロにやってもらう予定ですが、環境は維持しなくちゃだからね。

【こ】

モニターの場合、測色機でいろいろな色の「ぶれ」を測り、それをデータ化してモニタープロファイルとしていました。プリンターの場合も本来はプリントしたものを測色機(スキャナーで代用する場合もあり)「測色」してプロファイルを作ります。

その際、当然ですが、使う「紙」によって発色は変わってくるので、紙の種類ごとにプロファイルを作らなければなりません。

【ゆ】

そうですね。

【こ】

ただ、これはモニターのプロファイル作り以上に大げさになり、機材も高価です。

【ゆ】

うん、この前、その能力こみの機械の値段きいてびっくり!でした。

【こ】

まだまだ驚くほど高いですよね。

幸い、プリンターは個体差も少なく、モニターのように経年変化も大きくないので、プリンターメーカーが用意しているプリンタープロファイルを使うことでほぼ解決できます。

ただ当然のことですが残念ながら、エプソンにはエプソン純正用紙の、キヤノンにはキヤノン純正用紙のプロファイルしか用意されていません。また、ピクトリコのような用紙メーカーは、各社のプリンターに合わせたプロファイルが用意されています。

先日お買いになった、ピクトリコのプルーフ用紙でしたらこちらから入っていけばダウンロードできます。会員登録が必要なようですが。

【ゆ】

うん、僕の場合印刷にするとどうなるか?の確認がまず第一で、ピクトリコのプルーフという紙になったわけですね。プリントを作る場合は水中写真の種類によって最終的には選ぶんでしょうが、みなさんはコースケさんおすすめではじめればいいよね。最初はなんでも、まねが1番楽で早い。

【こ】

用紙に関しては、きちんとプロファイルがある、ということを考えれば、お持ちのプリンタメーカーの純正用紙が無難ですね。さきほどでました「ピクトリコ」も最近はラインアップも豊富で、特にエプソンの顔料インク系(PX5500もそうですね)にマッチする紙がいくつか出ています。値段もずいぶん安くなっていますし。

用紙に関してはケチらないほうがいいんですけど、エプソンにしろキヤノンにしろ最高級品(エプソンでは「クリスピア」、キヤノンでは「プロフェッショナルフォトペーパー」)は、常用するにはちょっとオーバークオリティかと思います。もう1つ下の「写真用紙」「スーパーフォトペーパー」クラスでいいと思います。最高級品は「勝負用」ということで。

で、エプソンの場合はこちら、キヤノンはこちら

これらをダウンロードして、指定されているフォルダーに入れてください。複数をダウンロードする場合は、ちょっと区別がつきにくい名前がついている場合がありますので、わかりやすいようにリネームしておいたほうがいいかもしれません。保存場所も上記のHPに書いてあります。

ピクトリコのページではマックでのプリント手順しか出ていないですね。以下ではウィンドウズでのプリント手順を解説します。まぁ、本質的にはほとんど違いがないんですが。

【ゆ】

了解。

【こ】

フォトショップによるプリント

さて、実際のプリントですが、プリンタプロファイルを適用するには「フォトショップにカラーマネージメントをさせる」方法と、「パソコン(プリンタドライバ)にカラーマネージメントをさせる(Windowsだと「ICM」、マックだと「ColorSync」)方法があります。

ここではWinでもマックでもほとんど同じ工程になる前者のやりかたで行いますね。とりあえずエプソンのプリンタですが、キヤノンでも若干用語の違いなどはありますが、ほぼ同じような感じです。

まずフォトショに画像を展開して、「ファイル」→「プリントプレビュー」をクリックします。するとこのような画面が出てきます。


(クリックすると拡大)

この画面での下のほうの3つ設定個所からです。それぞれ

  • カラー処理→Photoshopによるカラー処理
  • プリンタプロファイル→先ほどダウンロードしたプロファイル
  • マッチング方法→知覚的(「黒点の補正」にはチェックを入れる)

を選択してください。

この画面では、プリンタプロファイルはエプソンPM-4000PXというモデルの「PM/MC写真用紙」用のプロファイルが選択されています。

【ゆ】

僕がイルカの個展の時に売ったプリントの機械ですね。

【こ】

このモデルからいろいろな面で格段の進歩をとげてますね。プロが売り物になるレベルのものが出てくるようになりました、耐久性も含めて。

さて次に上のほうのサイズ関連の設定ですが・・・位置はそのまんますぐにわかりやすいかと思いますが、「拡大・縮小したプリントサイズ」に関しては以前に取り上げた「(相対)解像度(dpi)の正確な理解が必要になります。(デジタル談義その5

で、ちょっととりあえず置いておいて先に進みます。

右上の「用紙設定」をクリックするとまず「ページ設定」が出てきます。(・・・すみません、以下はPM980Cというプリンタの画面になります)


(クリックすると拡大)

「サイズ」を用紙に合わせて「給紙方法」もセレクトします。
「給紙方法」はとりあえず「オートシートフィーダー」(ふちあり)がいいでしょう。
(画面と合っていなくてすみません)
「印刷の向き」は左上のサムネールと合っていなければ変更してください。

それからさらに「プリンタの設定」をクリックします。すると「ページ設定」が出てきますので、プリンタがちゃんと選択していることを確認して「プロパティ」をクリックします。


(クリックすると拡大)

ここからはプリンタの設定です。


(クリックすると拡大)

まず「用紙種類」で用紙を選択してから、「モード設定」の「詳細設定」にチェックを入れます。すると「手動設定」画面になります。


(クリックすると拡大)

この画面ではまず右上の「色補正なし」にチェックを入れ、「印刷品質」は「スーパーフォト」などの最高画質を選択(このあたりは同じエプソンでも、モデルや紙の選択によって違います)、「マイクロウィーブ」の「スーパー」にもチェック、「双方向印刷」は・・・最高品質を求めるならチェックを外します。

後は「OK」をクリックして「プリント」画面まで戻って、「プリント」をクリックすれば印刷が開始されます。

出力元のフォトショップで、そのプリンタ・用紙用のデータを作ってプリンタに渡し、プリンタ側ではなにもしない、という設定がお分かりいただけたでしょうか?

【ゆ】

まー、今使ってるプリンタとそうかわらないですね。要はカラーの調整の仕方ですが、いわれたとおり、やるだけですね。

【こ】

プリントにあたってのリサイズ問題

さて、サイズの問題ですが、以前もふれたかと思うんですが、プリンターに渡すデータの解像度を「エプソン系は180dpi(の整数倍)、キヤノン系は200dpi(の整数倍)にリサイズするとよい」ということですが・・・。

結局、変な数でかけたり割ったりすると、「字あまり」みたいなものが出て、それがシャギー(ギザギザ)になってしまう、ということです。

ただ上の「プリント」画面の「拡大・縮小したプリントサイズ」で「メディアに合わせて拡大・縮小」のチェックをオンにすると、面倒なリサイズなしで一発で紙サイズに合わせてくれるんですよね。

【ゆ】

簡単でいいですね。

【こ】

内部的には「変な数でかけたり割ったり」しているんですけど、結局リサイズにしても、データの大きさそのもので使うならともかく、紙の大きさにフィットさせる限りフォトショップで「変な数でかけたり割ったり」しているんですよね。

決定的な違いは、フォトショップ内で「変な数でかけたり割ったり」するか、プリンタ内部で「プリンタにマッチしていない変な解像度のものを処理させる」かどうかです。

【ゆ】

なるほど・・・

【こ】

実際、きちんと解像度を考えたデータをプリンタに渡している人なんてごくごく一部であって、それでもちゃんと出てくるようにプリンタメーカーはすごく努力をしているかと思うので、とりあえず通常はリサイズを考えずに「メディアに合わせて拡大・縮小」でプリントしちやっていいと思います。それてシャギーが目立つようならリサイズしてみる、と。

あと現状のソフトでは、小さなサイズのものを拡大して印刷することは厳禁です。

【ゆ】

ま〜いきなり、敷居をたかくしなくてもいいね。

さらに上を望むなら、やればいいですね。このへんの妥協の仕方は、経験者のいうことをきくのが1番ですね。それでやっていて、気力がある人は上を求めると・・・

【こ】

まぁ、自分は必ずリサイズしてプリントしていますけど(笑)。慣れれば簡単ですし、おまじないみたいなものです。

さて、これで、モニターからプリントまでのカラーマネージメントが完成しました。
(実際にはまだ「仮」状態ですが)
画面で見えているものが、そのままに近くプリントアウトされてくる・・・はずです。

実際にはそう簡単ではないですけどね(笑)。RGBをCMYK(+α)にマッピングし直すわけなんで「完璧」というのはありえないです。

【ゆ】

そうなんだ〜〜・・・ではさらに上をめざすのは、とりあえずさておいて、上記ぐらいはやらないとね。ありがとさんでした。

【こ】

新製品など

D80、KissDXの発売、機能てんこ盛りのPENTAX K10Dがもうすぐ発売、FinPix S5Proの発表などいろいろありますが・・・雄輔さん的にはアップルの現像・画像整理ソフト「Aperture 1.5」(日本語版)が正式に発売になりました。

DDPのレシピみたいな、フォトショップ(CameraRAW)の「XMP」に対応しているので、フォトショップとの連携がすごくスムースになりますね。

【ゆ】

ついにでましたか、今の所DPPでやって、CSに渡すという工程でやってます。

とりあえず、ついてるものを利用して、理解をある段階まであげて、こりゃ〜買ってもいいな〜で買わないともったいないですね。DPPで、こういう機能があればな〜実用的だな〜とおもうことも、ありますが、キャノンに言います。

DPPも先日アップロードすると、C-MOSについたほこりの黒点をレシピで一気に消すなんてのがついてましたよ。進化してる。

【こ】

その機能はすでに「ニコンキャプチャー」にはついていたんですけどね(笑)。

【ゆ】

あと、5Dの人は、ファームウエアもアップデートしたほうがいいよ。1週間ぐらいまえにかわってた。ファームウエアって、カメラ自体のソフトです。

【こ】

結構、細かなトラブルが解消されますからね。メーカーによって出るCFカードとの相性問題のようなところから、画像処理そのもののような大きなところまで。

【ゆ】

もう一つ、DPPがいいかもとおもうこともあります。ロウデータをいじり、まーこの辺だというとこまでやる。基本的なロウでいじる範囲は、記憶させて、自分のレシピと呼ぶものになります。レシピは保存できて、それを全部のロウデータ(同一フォルダない)にいっぺんにはりつけて保存できます。で一応だいたいのとこまで、いっちゃいます。つまり正しく撮影していれば簡単。ロウはコースケさんが書いてますが、あくまで元というか、ポジのようにできあがりではない。カメラによってちがいますが、多少補正してポジになる感じかな。

で、DPPは各写真に、このいじったデータをはりつけてくれるのです。つまり、データのでかくなるtiff(50M)に現像して保存しなくても、ロウ+自分でいじった部分のデータが保存できるので(13Mとか)、ロウのまま、とっといてもいいわけです。

なんせ、スイッチひとつで、tiffにできるし、選択したもの一気にtiffに、やってもらうだけですから。もちろん僕のG5で、1枚、20秒?(しばらく待つ)とかかかりますけど。

いちいちやっても、同じだけかかるし、使いたい写真を片はしから、一つのフォルダに集めて、パソコンに働いてもらうだけです。どちらにしても、さらに細かく調整するためフォトショップでいじる時間はかかるわけだし、正しく撮影されたものなら、基本のレシピをはりつけただけでも、使えるわけですね。一応ポジが補正できないと考えれば、ここまでするのは、簡単です。

で、個別に気に食わない奴を、自分でなおすって感じです。

フォトショップに渡すと、輝度とか、コントラストとか、色の感じとかが、多少かわりますので、その差をおぼえておいて、ロウを調整すればいいわけですね。僕みたいにたくさん写真を撮ると、tiffの保存は負担だし、まだきめたわけではないですし、ほかのソフトのこともわからないのですが。

【こ】

雄輔さん、DPPの「ツール」→「環境設定」→「カラーマネージメント」で、「作業用色空間の初期設定」と「カラーマッチング設定」の「表示用」のモニタープロファイルの適用はちゃんとされていますか?

【ゆ】

やってもらいました。とはいえ、まだ正式な、調整はやってもらってないので、いまは自分で機能などおぼえるためにやってるだけです。結局、基本的にどのへんまでいじっていいのかを、1回きいてからスタートなので、アイドリングみたいなもんですので・・・

【こ】

なるほど。確かにちゃんとしてモニターのプロファイルが作れなかったですからね、この前は m(_ _)m

で、上に書いた「XMP」というのがDPPでいうところの「レシピ」でして、RAWデータとは別に保存して、それを他のRAWデータに適用したりできます。機能的にはほとんど同じですね。

「いちいちtiffに直さない」というのは1つの方法ですよね。ただ、それは「フォトショに渡す前のデータ」でして、現実には現状、現像ソフトだけで製品・作品レベルまで持っていけるか、というとちょっと?ですね。部分的な補正ができませんから・・・たとえば効率的なゴミ取りとか。

【ゆ】

うん、もちろん、最後はフォトショでですが、撮る写真と使う写真の段差がすごいし、とても現像までやれないすね。次にいいの撮れれば、すぐすてるしね。ま〜よさげなのだけやるぐらいかな?図鑑のなんて、いちいちやらねえすね。

【こ】

そうなんですよね。いろいろと効率を上げていっても、1枚1枚手作業の部分は必ず残りますから、とりあえずその数でめげてしまう(笑)。

あと、キヤノンから画面つきフォトストレージが出るようです。面白いのはキヤノンのRAWに対応しているところは当然として、電池とか操作性(インターフェイス)も30D、5Dと統一感を持たせているところでしょうか。ちょうどカメラの手前側のファインダー以外を持ってきた感じですね。

【ゆ】

なるほど、このへんはキャノンは力あるね。

【こ】

キヤノンユーザーだけを対象にしても商売が成り立つ、という計算でしょうね(笑)。

ソニーαは、ツァイスとミノルタのレンズのラインアップからいいとこ取りでどんどんレンズが出ています、これはかなりうらやましいなぁ・・・あまり水中とは関係ないですが。

【ゆ】

そうか・・・この前の撮影で、100にテレコンで多少テストしたのですが、ぜんぜんだめでした。

テレコンもキャノンは2シリーズになってますが、デジタルはレンズにシビアですね〜〜これほど影響が大きいとは思わなかった。もうまったくコントラストも解像力も・・・もちろん、もともとテレコンがいいわけないですが、ポジでぎりぎりふみとどまっていたのが、全部データすてました。テレコン2シリーズはそのうちテストしますが・・・

【こ】

もともと2倍テレコンでは、かなり厳しいですからねぇ。

あと、だまされたと思って一度これなんかも試してみてくださいよ。

1.4倍なら自分も持っていますよ。

【ゆ】

1.4倍の話だよ〜デジタル用じゃないけどね〜〜デジタル用もテストしなきゃです。

【こ】

あら、失礼しました。

【ゆ】

デジタル用というか、新しいレンズはみんな平気ですが、17-35,28-70とか、駄目ですね。もう売りました。ちなみにポジでとっても、今のレンズのがきれいです。わざわざ、新しくしたんだからね。

【こ】

17-35/2.8,28-70/2.8はそれぞれ少し前に16-35/2.8、24-70/2.8に代わっていて、ズームの範囲が広がると共にデジタルを見据えた設計変更をしています。逆に言うと、それまでのものがデジタルには耐えられなかった、ということですよね。

【ゆ】

ちなみにマクロはデジ用出ないじゃんと文句たれたら、もともとマクロはデジに向く設計のレンズなのでいいそうです。水中写真撮ってる人には朗報ですね。

【ゆ】

まとめ

さて、今月はプリンタ設定ですが、言われたままやるだけで、とりあえずいいですね。そこからスタートしましょう。

上でレンズのこと書きましたが、ポジとデジの基本的な違いがある以上、レンズに求められる性能もちがってきますね〜〜。

ある友人の教えによると、もう10数年デジやってる奴ですが、今まで人をとるのにいいな^と思ってた、85mm/1.2とか、、なぜってすごく柔らかくて、柔らかいって、甘い感じがちょうどいいというか、だから女の子とか撮ると、甘くて柔らかくてが優しい雰囲気になったりするわけで、いいわけです。

で、そのレンズがデジでつかうと、甘すぎて、雰囲気でなくて駄目になっちゃったりするわけです。だから、向き不向きはありますよね。で、そいつが、女の子をマクロレンズで撮影したりするそうです。カメラマンとしては、え〜〜〜ですよ。近接撮影ってどうしても甘くなるので、かなりガチガチ硬いレンズなわけですよ。そのためのレンズですから・・・そのくらい違うそうです。ま〜細かいこと言わない人は、ズーム使うほうがいいもんね、昔とは段違いにいいですから。

陸だったら、1本で全部撮れそうなレンズも、タムロンなんかだと安いし、キャノンにだって、70-300 DOなんて、少し暗いですが、超小さいし、この範囲のレンズのわりにきれいという DOなんて新設計ですから。70-300で、普通レンズ1本分の大きさです。楽だよな〜F4から4半?だっけ、暗いけど、デジだったら感度あげて、f2.8のレンズと同じに、S-スピードとかかせげるからね==

あそうそう、対角線魚眼もデジにあうそうです。これも朗報だね〜〜

そうそう、この前の撮影でかんじたんですけど、水中のゴミ、デジだとほんとに飛びやすいですね〜〜まいった。状況によっては、ポジより沢山撮っといたほうがいいですね。

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