南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

青年よ、大志を抱け

先日一通のメールが僕の元に届いた。内容は海外で働きたいというものだった。

そういえば、僕がパラオに来た理由って書いたことがなかったなぁ。僕がパラオに来た理由はズバリ、先輩が「パラオに行け」って言ったから。なんだかぜんぜん感動的でもロマンチックでもない理由。当時、外の海を見てみたいと思っていた僕はどこへ行ったらいいか悩んでいた。そこで当時勤めていたサービスの先輩に「どこの海に行けば勉強になりますかね?」と聞いたところ、その先輩は僕にパラオだと言ってのけた。丁度、その時パラオのサービスで求人があって、それに応募することができたのも重なって、僕のパラオ行きが決まった。

パラオに来る前、丁度外の海を見てみたいと思っていたとき僕は一つ悩んでいることがあった。それは自分が潜ってみたいと思うポイントで潜りたい、自分がリサーチをして良いと思うところをポイントとして使いたいと思っていた。僕が居た大島は当時漁協が6ヶ所あって、それぞれダイビングしてよい場所が決まっていた。ここからここまで、という風に範囲が決まっているのだ。漁協としては漁場を守るということも大事なこと。ルールなので、もちろんそれには従っていたが僕は別のことを考えていた。もっと自由に自分ところの海を潜ってみたかった。「もっとすきなところを自由に潜って仕事したい」そういう思いが僕の中に日増しに強くなっていった。その為には漁協がある国内の海じゃだめかも知れない・・・そう思い始めたとき、僕の志向は海外の海へと向いていった。

パラオに来るまで言葉の心配や、文化になじめるか、パラオの人と上手くやれるか、不安や心配も沢山あった。でも、どれも行ってみなきゃ分からないし、どうにもならない。飛び込んでみないと見えてこないと思ったときに、自分の中にあったモヤモヤしていたものがストンッと落ちた気がした。「やってみなけりゃ分からない」そう、その通りなのだ。

まぁ実際にパラオで働き始めてからは大変なことも沢山ありました。まず、英語が全くダメだったので言葉が通じない。パラオは日本語が何となく通じると聞いていたので何とかなるか、と思っていたのですが、お客さんのレベルとスタッフのレベルとは違うのだと思い知らされ、急遽、中学以来やっていなかった英語を必死になって学んだことを覚えています。その癖か、今でも出歩くときには辞書を持ち歩いてしまいます。(笑) そんな言葉もそのうち何とかなったし、大きな問題ではありませんでした。この国で暮らす大変さよりも、自由にポイントを設定できる仕事の楽しさのほうが何十倍も強かった。だからそういうの苦にならなかった。自分がホントにやってみたいことがあるとき、その他のことのほとんどは我慢ができるのだなぁ、とその時思ったものでした。その幸せな時間は流れて今、僕は初めてパラオに来てから11年目になった。今年もまた自由に潜ろうと思う。

もしこの豪海倶楽部を見て海外で仕事をしてみたい人がいたら、一言だけ助言したい。部屋で考えていても答えなんてきっと一生出ないです。やってみたいなら、そう思うなら、悩むよりも飛び出してみたらいい。きっとそこから何かが始まるから。そんな風に僕は思うんです。「青年よ、大志を抱け」ですとも。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

DayDream PALAU

P.O.Box 10046 Koror Palau
96940
Tel:680-488-3551
Fax:680-488-2199

www.daydream.to/palau
akino@daydream.to