南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

KAYANGEL inside story

コロールからスピードボートで3時間半。海上移動距離およそ100km。パラオ最北の環礁で、未だ手付かずのポイントが山ほど残っている。パラオのガイドといえどもここを案内できる奴はそうそう居ないはずだ。未開の海、カヤンゲル。今年もその場所に行く季節がやってきた。

ここはダイバーなんて全く居ないと言っていいほど、他のダイバーに会うことはほとんどない。それほど人が来ない場所。だって、遠いし、海は難しいし、未開だし、とにかく条件としては難しいことばかり。でも、そういう海にはロマンを感じちゃう。知りたい、行ってみたいという欲求がフツフツと沸いてきてしまう。

僕らは毎年、春と秋の2回、カヤンゲルへの1泊キャンプツアーを開催している。2004年から始まったこのツアーも今年で4年目。当時デイドリームの10周年のイベントとして「何か今までと違うことを」というコンセプトで始まった“一発限り”の企画物だった。しかし想像していた以上に評判がよく、結局例年開催する定番イベントへと昇格になったという裏の事情がある。

もともと僕が初めてカヤンゲルに行ったのは今からおよそ10年前。まだペーペーのガイドとして駆け出しの時だった。初めて見たカヤンゲルのビーチの美しさには本当にタマゲタのを記憶している。あの時の感動がこれほどまでに強くなければ、僕はここまでカヤンゲルにはこだわっていなかったかもしれない。純粋に「綺麗だ」と思ったから、ここを「皆にも見せてあげたい」と思った。その思いが僕をカヤンゲルへ向かわせる原動力になっているのかもしれない。

ポイントの難しさもガイドとして挑戦心をくすぐられる。ツアー中は基本的にあまり冒険しないよう心がけ、極力“当たり”の歩留まりを上げるよう心がけているが、たまに、とても良さそうな場所を見つけちゃったりしたら「エイヤッ」と入ってしまうこともある。この場合、大当たりか大ハズレのどちらかになるのだが、これもまたスペシャルトリップの醍醐味だったりもする。全てが必ず当たるような“お決まり観光地めぐり的水族館的動物園方針の空クジなし”ツアーではこの海の面白さを感受することはできない。常に期待と緊張が交差するようなテンションの高いところで遊ぶのがツウなのである。

ワクワクするような期待と、初めての海に対する緊張。これは誰でも持つ気持であって、僕らダイバーがダイバーであり続けちゃう理由の原点は、どうやらこの辺りにあるのではないかと思っている。パラオのカヤンゲルという場所はそのダイバーの欲求を満たす十分な要素を兼ね備えているのだろう。それが1発限りで終わる予定だったこのツアーが4年に渡って支持されている証拠なのではないだろうか。僕がペリリューからコロールに戻って最初のスペシャルトリップ。今回は一体どんな海をカヤンゲルは見せてくれるのか。今から楽しみで仕方がない。

今年は11月17〜18日、11月24〜25日、12月11〜12日の3ツアーを予定しています。詳細はデイドリームWEBで確認することができます。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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