南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

パラオの海から

その土地に根付いている独特な食文化ってありますよね。旅行に行くときの楽しみの一つだと思うのですが、ここパラオには「スパムおにぎり」というのがあります。僕は大好きでほぼ毎日食べています。

この「スパムおにぎり」がどんなものかというと、ランチョンミートの缶詰「スパム」を焼いたものが、すし飯のように四角に握ってある普通のご飯の上に乗っているという代物。「おにぎり」というよりも、寿司の「にぎり」のでかいのだとイメージしてもらったほうが分かりやすいかもしれません。

この「スパムおにぎり」、GUAMでも見たことありますし、以前ハワイに行った時にも食べたので多分、ミクロネシア全体で一般的だと思います。最近は日本のコンビニでもあるという話を聞いたことがあります。ワールドワイドな食べ物になってきたのでしょうか。スパムは沖縄では結構メジャーだと聞いたことありますが、沖縄にもあるのでしょうかね?

さて、作り方です。一番シンプルなものはスライスしたスパムをフライパンで焼き色をつけて、大きめににぎったご飯に載せて海苔で俵巻きのように帯をします。

あまりスーパーマーケットなどでは売っていなくて、その辺のガソリンスタンドに併設されているコンビニ(コンビニって言うのかわからないけど)で買うのが一般的です。もっぱらローカルの日本人や地元のパラオ人が仕事行きがてら弁当を買うときに一緒に買うわけですね。大体一個$1から$1.5ほどです。感覚はまさに日本のコンビニでおにぎり買うのと一緒です。

味もそのお店ごとに違くて、テリヤキ味だったり、マヨネーズ味、ガーリックバターを使ったり、サンドイッチスタイルや、ご飯にふりかけが振ってあったり、いろいろ作り手のこだわりがあるようです。僕のお気に入りはDolphin’sPacificOffce前にあるキングスマーケットの「テリヤキ味」とパレイシアホテルから街中方面に3分ほど歩いた右側にあるフランシスストアの「ツナ・マヨネーズ・サンドイッチスタイル」がお勧めです。

オリジナリティーがなくて美味しくない「おにぎり」は買い手がつかなくて、しばらくすると陳列されなくなります。このおにぎりを作っているのはレストランを持たない仕出屋さんなのです。その仕出屋さんが毎朝作ってこのコンビニに卸にくるんですね。だから売れない商品はどんどん淘汰されていってしまうわけです。たかがおにぎりですが、その実、過酷な販売合戦と商品開発が日々されているわけです。

そんな「スパムおにぎり」のことを考えていて、僕らガイドの仕事も同じだな、って思ったんです。だってそうでしょ?新しいポイントや新しい魚をいつも探して・・・。もちろん、それは探究心というのもありますけど、自分自身が飽きないため・・・。ただ単純に面白いからっていうのもありますね。でもそういう気持ちがなかったら僕ら自身がいつかつまらなくなってしまうし、気が付かないうちに自分のところの海を決め付けてしまうようになってしまうんじゃないかな?「この海はこんな感じ」って。

お客さんに飽きられない為、そして自分が飽きない為に海とどう付き合うか。

でも実際、海ってそんな簡単ではないじゃないですか。もっと奥が深いし、僕らの想像を超えたことが起こる。訳のわからないことがいつも起こるから面白いわけで、だから熱くなれる訳ですよね。

そう言えば、一昨日ブルーコーナーでマ2.5mほどのマカジキ5本の群れを見ました。今日はウチのスタッフが30枚以上のタイワンイトマキエイの群れを見てきたそうです。そんなタマゲタことが起こるから「よし!明日も」ってなっちゃうんですよね。

この冬のシーズン、パラオの海はいったいどんな夢を見せてくれるのか。
明日も夢を探しに行きます。どうですか?一緒に。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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