南国通信 楽園からのらくがき 豪海倶楽部  

パラオの海から

先月号で三保の鉄さんから「マッドな魚@パラオ」の振りをいただきました。嬉しいですね。

さて、パラオの泥地(マッドと呼んだほうがよろしいでしょうか?>鉄さん)は、いわゆる内海のロックアイランドの中にいたるところに存在しています。水深もいろいろですし、マッド加減(比較的さらさらの泥から粘土まで)も様々です。パラオを訪れるダイバーの多くが訪れるリソン島にあるマリンレイクにも、ちょっと奥まで進んで行くとマッドな世界が広がっています。僕らのような、ちょっと変わったダイバーを喜ばせてくれます。

この“リソン・マリンレイクの奥の泥地”は底のほうは水の入れ替わりがほとんどなく、いつも透視度は3m以下くらいです。マッド指数70%といったところでしょうか。(笑)もっと手前の比較的透明度のいいところにはカニハゼやニシキテグリ、マンジュウイシモチといった定番の人気魚がいるので、なかなかここまでたどり着けるダイバーはいません。まれにハナっからこの泥地だけを潜りたいという特異な方もいらっしゃいますけど。特異と言っても、それは一般的見知からする判断で、むしろ僕らからすると“非常に面白いダイビングができそうな嬉しいお客様”ですね。

場所が場所だけになかなか一般受けしにくいのは事実です。でも、仮に一般受けしてしまったらあんな透視度の中を一度に6人なんてガイドできないですけどね。(笑) あっと言う間に2,3人見失うでしょうから。(笑)←笑い事じゃないですけど。 一度着底したら体の動きは最小限にしないと隣のお客さんすら見えなくなるほどのクリーミーな泥底でフィンの先まで神経を行きとどかせながら狙いの魚にアプローチしなくちゃなりません。それはある意味とても高いダイビングスキルを求められますし、そのスキルを確実に使える人でないと楽しめない場所です。だから特別な人にだけ受ける。ここはそんな所でいいのかもしれませんね。

そのマッドな環境にはマッドのところにしかいない魚がいるわけで、写真のヤジリハゼやシマオリハゼもそうです。他のハゼから比べると比較的個体数は少なめですが、それでも1ダイブ中探し続ければ大体見つけることができます。この2種はちょっと水深が深めなところが好きなようです。ヤジリハゼはそうでもないのですが、シマオリハゼはいつも鰭を全開にしてホバーリングしているのでゆっくり寄れば撮影も観察も簡単。でも、泥を巻き上げないスキルと根気よく捜し続ける根性が必要です。透視度がないので寄らないと話にならないのですが、寄るには体を動かさないとならないし、動かせば泥が舞ってしまうし、究極の決断をいつも迫られながら目の前のターゲットと対峙するわけですね。

いずれにしても、この「マッドな魚@パラオ」もなかなかオツな楽しさがあります。もしチャンスがあったら皆さんも是非チャレンジしてみてくださいな。


秋野
秋野 大

1970年10月22日生まれ
伊豆大島出身

カメラ好きで写真を撮るのはもっと好き。でもその写真を整理するのは大キライ。「データ」が大好物でいろんなコトをすぐに分析したがる「分析フェチ」。ブダイ以外の魚はだいたいイケルが、とりわけ3cm以下の魚には激しい興奮を示し、外洋性一発系の魚に果てしないロマンを感じるらしい。日本酒より焼酎。肉より魚。果物は嫌い。苦手なのは甘い物。

ミクロネシア・パラオ

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