生き残る輩

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昨年は良かった。

「1年前の今日の思い出」が、頼みもしないのにスマホやパソコン上に表示されます。

もちろん事前に設定しておけば、何年か前の同じ日に撮った写真や日記、自分が書いたFaceBookの記事など、表示できないようにしておけます。

でも、物忘れが日に日にひどくなる今日この頃。何気なく過去の思い出を振り返るきっかけを作ってくれるのは、便利に感じることもあるのです。

そして、昨年の今頃。

7月29日には、水温が29度となっていました。

沖合ではナメモンガラが大群となり、エントリー口周辺の浅いところではイワサキスズメダイが遊んでいました。それなのに、ここ数日の水温は15度。なんという違いでしょう!?

今年は黒潮が八丈島を迂回し、八丈島周辺だけが深層水に浸され、すっかり冷え切っているのです。

ただこの水温がずっと続いているというわけではなく、日によっては20℃くらいまで上がります。7月中、運の良かったゲストは、水温が23℃あたりで過ごせた方もいらっしゃいました。

日によって水温が10℃近く乱高下するとなると、ダイバーはもちろんですが海中の生物も大変です。

八丈島では水温の低い日が続くと、伊豆半島で見られるものと同じサカナが増えていきます。水温の高い日が続くと、沖縄で見られるものと同じサカナが増えていきます。

しかし、水温変化が激しいと、この変化に対応できるサカナだけが増えていくのです。

そんな生命力の強いサカナの1つがヨゴレヘビギンポ。

いつでも、どのポイントでも見られる、本当の普通種です。普段はとても地味なので誰からも相手にされませんが、どんな時だって安定して見られます。恋の季節は春から初夏。水温が22℃を切る、どちらかと言えば冷たい日の方が燃えるようです。

以前にも書いたことがあるかも知れませんが、オスは婚姻色となり、ものすごく目立った存在になります。普段の自分と同じ、地味なメスに求愛し、メスが産み付けた卵に放精します。

産卵と放精の瞬間

この時、オスの周りにいるのは、メス1匹とは限りません。

2〜3匹がメスが産卵し、オスが忙しそうに巡回していることもあります。

面白いのは、この何匹かのメスに交じり、地味な色彩のオスが紛れ込んでいることがあるのです。婚姻色となってしまうとオスに追い払われてしまうので、メスのふりをしてメスに近づき、こっそり放精して逃げていく。

つまり、自分の縄張りを張れず、自分のメスを囲えない情けないオスたちは、おかまちゃんとなって他人の縄張りに潜り込み、人妻に手を出すという方法で子孫を残すのです。これが、毎年繰り広げられる、ヨゴレヘビギンポの繁殖行動です。

ところが、今年はちょっと珍しい光景を2回くらい目にしました。

オスの闘争

婚姻色となったオス同士の戦いです。

今まで気が付かなかっただけなのか? 初めて見る光景でした。

こんな男らしい一面があったとは!

がぶっ

何か、今までのやり方では生き残っていけないような事態になっているのでしょうか?

いつでもどこでもたくさん見られるヨゴレヘビギンポの世界にも、私たちには見えない事情があるのかも知れません。

「変化に最も対応できる生き物が生き残る」

ダーウィンが言ったとか、言わなかったとか。

さて、ダイバーは、どこまで水温の変化に対応できるのでしょうか?

早く黒潮に戻ってきてほしいなあ。

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水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

伊豆諸島・八丈島
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