屋久島から記載された新種のヤドカリ

5月23日、いよいよ誠文堂新光社より「ヤドカリ(ネイチャーウォッチングガイドブック)」が出版される。

著者は伊豆大島ダイビングセンターの有馬くんだ。

僕も有馬くんからのリクエスト・リストに従って写真を何枚か提供しているのだが、もはや何枚提供しているのかよく覚えていない。。。(^^;;

彼からのリクエストに従って写真を用意したので、「このヤドカリだけはぜひ屋久島の写真を使って欲しいなぁ〜」と思いつつも、リクエストされなかった種類もある。

それは2009年に新種として記載された「スミレヒメホンヤドカリ」だ。

【スミレヒメホンヤドカリ】

2009年に新種として記載されたスミレヒメホンヤドカリ(Pagurixus purpureus)は、写真を見れば分かるようにとても綺麗な色彩のヤドカリなので、かなり前からダイバーの間ではよく知られていた種類だ。

屋久島産スミレヒメホンヤドカリ
屋久島産スミレヒメホンヤドカリ

国内では伊豆大島、四国、そして屋久島など日本の暖温帯域で広く見られる種類で、屋久島では特に珍しいヤドカリではなく、そこら中で見られる普通種だ。

なかでもゼロ戦と呼ばれるポイントでは狭い範囲に数百個体がギッシリひしめき合って生活している。

今のところ琉球列島からの記録はなく、主に日本の太平洋沿岸で見られることから、国内では黒潮の流域で見られるヤドカリだと考えて良いかと思う。

今のところ屋久島が国内の南限生息地になる。

新種を記載するためには当然、標本の採取が必要になるのだが、伊豆大島や四国、屋久島などから標本が集まった。

そんな中から、このスミレヒメホンヤドカリのホロタイプに選ばれたのが、屋久島で採取された個体だった。

新種を記載する際、いくつかある標本のうちその種の基準となる代表的な標本を1個体だけ指定する決まりがあり、その標本をホロタイプという。

つまり極端な言い方をすると、スミレヒメホンヤドカリ(Pagurixus purpureus)というヤドカリは、この屋久島の標本に対して与えられた名前なのだ。

これはどういう事かというと、今後、このスミレヒメホンヤドカリに2つの種類が混じっている事が分かった場合などでも、少なくともこの屋久島の標本だけはスミレヒメホンヤドカリ(Pagurixus purpureus)であることは揺るぎなく、この標本を基準として他の似た種類と比較・検討がされることになるのだ。

分かりやすく言うと、仮に将来、伊豆大島で見られるものと屋久島で見られるものが別種だと分かった際には、屋久島のものがスミレヒメホンヤドカリになり、伊豆大島のものは別種になるわけだ。

なぜ屋久島の標本がホロタイプに指定されたのか研究者の方に聞いたところ、屋久島の標本は他地域から得られた標本と比べて、形態的に種の特徴が容易に分かる大型のオスであったからだそうだ。

つまり、屋久島の標本だけが極端に大きかったのだそうだ。

黒潮流域の生き物の多くはその上流に行けばいくほど、体が大きくなる傾向がある。

スミレヒメホンヤドカリの屋久島の標本は、こちらでは特別に大きな個体ではなかった事からも、スミレヒメホンヤドカリでもその傾向があるのかもしれない。

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原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。

巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

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