複雑な心境 その2

八丈島のメインポイントの1つである八重根には、とても大きなハタゴイソギンチャクが2ヶ所で見られます。2つのうち、手前のハタゴイソギンチャクには、かなり気の強いクマノミのペアが住んでいて、イソギンチャクの上にエビやカニがいても、落ち着いて写真を撮らせてもらえません。

ある日、そのイソギンチャクの上に、ミヤケテグリが乗っていました。

そんなこと、初めてです。

慌ててクマノミを振り払い(ごめん!)、ハタゴイソギンチャクにかぶりついて、とりあえず撮っておきました。

ミヤケテグリ

撮っているうちに、わかりました。

ミヤケテグリは、たまたまイソギンチャクの上に乗っていたのではなく、イソギンチャクの触手に絡めとられていたのです。私が近づいたので、何度も逃げようとしたのですが、イソギンチャクが身体にべったりとくっついて飛びあがることができません。多少飛びあがったところで、広いイソギンチャクの外側にまで出ていくことができないのです。

ミヤケテグリは、このままじりじりと中央に運ばれて、消化されてしまうのでしょうか。ミヤケテグリに愛着があったせいか、それとも捕食されていく過程をおぞましく感じてしまったせいか? 私は、思わずミヤケテグリを助けてしまいました。

そして、直後に後悔しました。

ミヤケテグリをはぎ取られたイソギンチャクは大きくはためき、助けられたミヤケテグリは、サンゴの上をよろよろと歩いていました。きっとこの弱ったミヤケテグリは、直に他の捕食者の餌食になってしまったことでしょう。私はちっとも良いことをしたわけではなく、自分のエゴで、自然の営みをちょっと邪魔しただけなのです。

それにしても、この「ミヤケテグリがイソギンチャクに食べられていくのを見るのは耐えられない」という気持ちは、一体何だったのでしょうか?

一方で、こんな捕食シーンは、喜んで撮っているのです。

ミヤケテグリ

よく見ると、チビハナダイの口から出ている、小さなハサミ。どうもスジテコシオリエビをくわえた瞬間だったようです。

こっちは良いけど、あっちはダメ、という気持ちの違いに、どうしても説明がつきません。

ただ1つ言えるのは、こんなことで悩んでいる生き物は、人間だけだろうなってことでしょうか。

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水谷
水谷 知世

昭和40年代生まれ
兵庫県出身

一見、負けず嫌いで男勝りというイメージだが、実は繊細な女性らしい一面を持つ、頭の回転はレグルス一番!!の頼もしい存在である。(レグルス親方・談)

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