岩手で潜って来た

まずは被災地、岩手の海の報告から・・・

ビッグブルー仲間のくまちゃん(佐藤寛志)が地元の岩手県で復興ボランティアダイビングをし続けている。3.11の時カオラックでクルーズ船PAWARA号の上にいた彼はニュースを聞きつけ下船後すぐに帰国、岩手へ戻り、支援物資の募集や配給に始まり漁港や河川の清掃などなど、彼自身の時間や労力を投げうって復興活動の旗を振り続けている。

くまちゃんたちは『三陸ボランティアダイバーズ(※1)』という非営利団体を立ち上げ、仲間とともにダイバー目線で復興活動を行っている。水中には大小たくさんの瓦礫(※2)が沈んでいるため、水質悪化の原因や漁船の航行の妨げとなる。ダイバーは水面からは見えないものを水中で見つけることができるので、漁師さんと協力しながら小さいものは自力で拾い上げ、大きなものは目印のブイをロープで付けて行き、後日このブイを目印に巨大サルベージ船で一気に引き上げて行く。

人力では上がらない瓦礫に目印を付けるボランティアダイバーたち
人力では上がらない瓦礫に目印を付けるボランティアダイバーたち

今回、僕らは岩手県大船渡市の綾里港での水中清掃活動に参加した。この場所はくまちゃん等が最初に着手した港でこれまでの活動のおかげで水中は思っていたよりも透明度も良く瓦礫も少なかったし、たくましく生きている水中生物も見られ、彼らの活動は確実に復興に役立っているのだと実感できた。

今では話を聞きつけた他の漁港からも依頼が入り活躍の場は広がっており、漁協とダイバーの信頼関係が高まることで、復興した三陸の海で漁業とダイビングが共存共栄する未来のためにも一役買っていると言えるだろう。

漁師さんとボランティアダイバーたちの連携
漁師さんとボランティアダイバーたちの連携

くまちゃんが毎年鮭の遡上を観察している川にも行って来た。この川で孵化した鮭の稚魚は海に出、4年後に産卵のために戻ってくるのだが、川も津波により大打撃を受けてしまった。S字型に湾曲していた河口部はまっすぐになり、巨大な防波堤が崩れてコンクリートの固まりが倒れ、鮭の遡上の障害物になると思われる大小さまざまな瓦礫が川の内外に散乱していた。今年の鮭の遡上まであと3〜4ヶ月を残すのみ。果たしてそれまでに鮭が遡上できる状態に戻せるのか!?まさに時間との戦いである。

僕自身がタイ、カオラックで津波の被災から復興までの過程を経験しているのだが、時間の経過とともに人々の関心が薄れて義援金やボランティアという援助が減って行くなか取り残される被災地を見て来た。しかしそんな中でも根気よく支援を続けて来た人も見て来た。東北の復興も一歩ずつ進むしかなく、そのためには国はもちろんだが民間レベルでの支援も必要だ。個人で大きな支援をしようと重荷に思うより、大人数で小さな支援をコツコツと『継続して続けて行くこと』が結局は大きな力になると思う。

大船渡の駅前広場の時計は被災の時間のまま止まっていた
大船渡の駅前広場の時計は被災の時間のまま止まっていた

タイの海のお話も少々・・・

片や被災地の海では人々が水中からものを引き上げ作業をしている時、こちらタイではわざわざ船を沈めるというイベントがあった。

H.T.M.S. SATTAKUTは1943年にアメリカで建造された全長49m幅7mの軍艦で、第二次世界大戦の時はUS NAVYの所有で硫黄島や沖縄でも砲艦として従軍していたという。その後はタイNAVYの手に渡り今日まで使われ、軍艦としての役目を終えたこれからはタオ島沖の海底で沈船ポイントとして後世に残る事となったのだ。

沈む直前のH.T.M.S. SATTAKUT
沈む直前のH.T.M.S. SATTAKUT

潜ってみて解った事は船体が90度以上傾き船腹を見せた状態で沈んでおり、はっきり言って沈め方としては大失敗。船体の半分は泥質の水底に沈んでいる状態で水底付近は濁りが酷くて何も見えない。また、もともと横幅は狭い船なので今のままだとトップが20mオーバーとレクレーショナルダイバーが潜るには中途半端に深いかな。今後、船体を立ち上げ起こす作業を行なおうと言う話もあり、もう少し浅い水深で楽しめるようになり、時間とともに生物が付き始めたら、これまで沈船がなかったタオ島の海のバリエーションとして重宝することだろう。

沈んだ後のH.T.M.S. SATTAKUT
沈んだ後のH.T.M.S. SATTAKUT

さて、大震災の影響でマリンダイビングフェアが4月から7月8日〜10日に延期され、この時期たくさんのダイビング関係のイベントが開催される。僕も数日後には帰国しいくつかのイベント(※3)に参加させてもらうので、機会があればイベント会場でお会いしましょう。そして三陸ボランティアダイバーズの活動報告もなされる予定なので、興味のある方は是非耳を傾けてみて欲しい。

※1 三陸ボランティアダイバーズのHPはこちらです。また、活動はくまちゃんのブログでも見れます。

※2 被災者の一人から『瓦礫』という言葉の使い方にとても傷つくという話を聞きました。もともと被災者の方々が一生懸命働いて建てた家や思い出の詰まったものが形を変えたのものが、皆が言う『瓦礫』なのであり、『瓦礫』=『ゴミや邪魔のもの』という認識ではなく、その背景に敬意を払ったうえでこの言葉を使いたいものだと思いました。

※3 マリンダイビングフェアのビッグブルーのブースでは三陸ボランティアダイバーズとビッグブルーオリジナルのチャリティーTシャツを販売します。この利益は全て三陸ボランティアダイバーズの活動資金に回しますので、ご理解頂ける方は是非ご購入下さい。

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大村
大村 健(おおむら・たけし)

1973年、京都生まれ
ガイド会所属

18歳で大学のクラブでダイビングを始め、その後、バックパックを背負って海を潜り歩く旅を経て、20歳の頃に秘境・タオ島に出会う。以後、徐々に発展してきた島とともにダイビングにのめり込んで今に至る。現在、タイの2つの海を舞台に、海のポテンシャルをフルに引き出すべく精力的に潜り倒す日々を送っている。

タイ・タオ島 カオラック
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