第49回

先日、久米島の沿岸(ナンハナリ)において、水深15m〜35mの海域に広がる大規模なサンゴ群集が確認され、県内外のニュース等で大きく取り上げられました。

その関連で、学術的な価値や今後の調査や保全のあり方について、地元関係者を集めて話し合いが行われました。その際に、久米島の別のエリアに生息するサンゴ群集の話も出ました。

上の画像がそのエリアの写真なのですが、この沖縄の離島では、何処にでもあるような何の変哲もない光景が、今後の調査対象にもなっているのです。

理由は1998年の世界的なサンゴの白化現象でこの辺り一帯のエリアが大打撃を受けた事によります。その後何故、この辺り一帯のエリアの中で、ある一部のエリアだけが、このようにサンゴの群集を形成するに至ったかという調査です。

島の南西部内湾を取り囲むようにして伸びるリーフの外側にこのエリアはあります。水深は見ての通り浅く、水深1mから8mほどの水域です。全長3kmほどのリーフには水路が3つあり、1つ目はフェリーなども通る港に向かう広い水路、そこからおよそ1.5kmほど離れたところにリーフ内に入れる狭い水路、そこから、およそ1kmほど離れたリーフ内に入れる3つ目の水路です。

港に通ずる一つ目の水路の側に川が流れ、そこから生活排水や雨が降ると赤土が流出してしまいます。距離的にも、やはり一つ目の水路が一番濁り、2つ目に続き、三つ目の水路と続くのですが、内湾だけの赤土流出度合いは、さほど差がないらしく、何故2つ目と3つ目の間に位置するこのエリアだけが、サンゴの群集を形成するに至ったかという事が、今は直接的には関係ないけれども、サンゴの繁殖率に対して、今後の何かの原因を探る上での参考となるのではないかと言う事なのです。

僕自身、少し違和感を感じた部分もあります。

【1】一つ目の水路は川が近い為に、赤土もよく流出し濁るが、2つ目と3つ目の間の外側(アウトリーフ)に位置するこのエリアには、2つの水路が沖に流れを作る為に、さほど赤土など流れる光景は見ない。

【2】内湾ならともかく、リーフの外側のこのエリアには、3つ目の水路側が張り出してるなどの地形状の特色だと思われるが、さほど赤土が流れてくる光景は見ない。

【3】内湾と言う特性の為に、白化現象後のサンゴの定着率は悪いが、赤土や生活排水の流出だけなら、もっと過酷なエリアで、もっと凄い繁殖エリアも過去にはあった。

そのような理由から、1998年以前も、このリーフではこのエリアがサンゴの繁殖率が良かった当時を知る僕からすると、別のエリアのサンゴの繁殖同様、現在のこのエリアのサンゴの繁殖率は当然と思えてしまうのです。でも、もしかすると、そんな調査の取り組み方も必要かもしれないと思えてくるのは、僕がこの島で見てきた20数年のサンゴの遍歴のせいなのかもしれません。泳ぐ為に、サンゴが邪魔で、バキバキ折っていた子供達。翌年には、また同じ状態に戻っていたサンゴ礁。何時から少しずつ歯車が狂ってきたのだろう?!

(関連する内容を6月1日の「ガイド会世界の海ブログ」に載せています。宜しければどうぞ。)

5月30日のサンゴの産卵の画像です。新しい命が、また、生まれました。

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川本
川本 剛志

1965年4月3日生まれ
福岡県出身
ガイド会所属

久米島でダイビングサービスを営むかたわら、ライフワークである、冬に訪れるザトウクジラや各種の魚類、サンゴ、ウミウシ、甲殻類の生態を写真に収め続けている。多数の図鑑雑誌に写真を提供し、エビ・カニガイドブック2-沖縄・久米島の海から-等の著作を持つ。

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