生物多様性 ─ 多ければ多いほどいい!ってワケじゃない(その2)

引っ張ります。。。「生物多様性」ネタ。(笑)

だって、考えれば考えるほど変な言葉なんだもん。。。「生物多様性」という言葉。。。

前回は「生物多様性」というけど、「多ければ多いほど良いというものなのだろうか?」として、空間的なスケールや時間的なスケールが違えば生物が多様であることが必ずしも良くない場合もありうるから注意!という話をした。今回は空間的なスケールや時間的なスケールなどはまったく関係なく、多様では絶対に困る例を挙げてみたい。

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少し前に屋久島のアユの話をしたのを覚えているだろうか?
これ⇒アユが教えてくれた「遺伝的多様性」の重要性

産卵中の屋久島産アユ

島嶼の生き物は閉鎖された空間で独自の進化を遂げる一方で、遺伝的多様性が低くなっていく例が多い。

屋久島のアユもまさにその好例だ。

アユは孵化後、しばらくはその川の河口周辺に留まり、春には同じ川を遡上する。さらに屋久島は過去に内地の河川のように琵琶湖産のアユが放流されることなく今日まできた。

そのため、種類としては内地のアユと同種とされているけど、遺伝子レベルで細かく見ていくと特異な地域集団になりつつあるようだ。それはまさにリュウキュウアユのように、新たな種が誕生する長い進化の過程の途中なのかもしれない。

また同時に、分化が進むとその血はどんどん濃くなっていく。血が濃くなっていくという事は、個体ごとの個性が失われていく事を意味する。その地域集団がみんな同じ顔を持ち、みんな同じ性質を持つのだ。

実際、屋久島のアユはこの個性を形作る遺伝子の多様性が内地のアユに比べて乏しいようだ。遺伝的多様性が低いと、ちょっとした事が原因で絶滅する危険性があったりする。

屋久島のアユは遺伝的多様性が低い

だからと言って、この地域個体群の絶滅を防ぐために内地の遺伝子的多様性の高いアユたちを頻繁に放流し、遺伝的多様性を常に高めるという施策はありえない。

というか、そもそも、それでは「屋久島のアユ」を守った事にはならないのは明白だ。

隔離された島だからどうしても遺伝的多様性は低くなる。

でも、だからこそ価値があるのであって、遺伝的多様性が低いまま何とか保全したいものだし、そうしなければならないのだ。言い方を変えると多様化を阻止する必要があるのだ。

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また、これと関連してもうひとつ。。。

屋久島の河川は魚の種類が少ない。これは屋久島の川が短い距離を一気に下る急流であるため、魚のエサとなるプランクトンの量が少なく、川が綺麗過ぎるからだと言われている。
つまり種の多様性も乏しい川なのだ。

これも多様性を増すために、本来はいなかったヤマメやイワナの類(国内外来種)を一斉放流して、多様性を増す事が良いことだとは誰も思わないだろう。

魚の種類が少ない状態が本来の屋久島の河川の自然の状態であり、これを維持することがこの島の生態系の維持にも繋がる。

屋久島の川は種の多様性も低い

やはり多様性が豊かである事が必ずしも良いとは限らない。考えれば考えるほど変な言葉なのだ。。。「生物多様性」という言葉は。。。国連や環境省はこの言葉を市民に周知させる事でいったい、何を目指し、何をしたいのだろうか?

よく分からない。。。

確実に言葉の運用とその周知のさせ方(啓蒙の仕方)に問題があるような気がしてならない。

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原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。

巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

鹿児島県・屋久島
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