アユが教えてくれた「遺伝的多様性」の重要性

今年は国際生物多様性年だ。

10月には名古屋でCOP10(生物多様性会議)が開かれることもあってか、ここ最近「生物多様性」という言葉をあちらこちらで聞くようになった。
地球サミットで調印された「生物多様性条約」では、生物多様性とは、「種の多様性」、「生態系の多様性」、そして「遺伝的多様性」を含むと定義されている。

このうち「種の多様性」と「生態系の多様性」は普段フィッシュウォッチングを楽しんでいる僕らダイバーには割とすんなりその意味を理解でき、身近な具体例を挙げることもできる。

問題は「遺伝的多様性」だ。

遺伝子やDNAという言葉はよく聞くが、何か難しそう。。。はっきり言って文系の僕には遺伝子なんて言葉が出てきた時点で無条件で拒否反応が。。。それでこの「遺伝的多様性」だけは具体的なイメージをイマイチつかめずにいた。実感が湧かないというか。。。

産卵中のアユ、メス1匹にオス3匹

昨年の12月、ようやく僕はアユの産卵を屋久島で見る事ができ、そこから3週間に渡って毎日川に通い続けた。夜は夜で屋久島のアユのことがもっと知りたくて、様々な文献や書籍を読み漁った。アユ漬けの日々。。。(笑)

アユは孵化後一度海にでるのだが、沖合に出ることはなく、しばらくはその河口周辺に留まるため、春には同じ川を遡上する可能性が高い。そして過去に屋久島は内地の河川のように琵琶湖産のアユが放流されることなく今日まできた。つまり離島・屋久島のアユは現在、独自の進化を遂げている事になる。リュウキュウアユはまさにその顕著な例だが、屋久島のアユも同様に遺伝的に特異な地域集団になりつつあるようだ。

後ろから続くオスたちは卵を食べる

さらに同じ種類の魚の中にも個性というものがあるわけだが、屋久島のアユはこの個性を形作る遺伝子の多様性も内地のアユに比べて乏しいようだ。

遺伝的多様性が低いと、ちょっとした事が原因で絶滅する危険性があったりする。。。そう。。。「遺伝的多様性」が低いと生物は生存が難しくなってくるのだ。

そんな身近な具体例に実際に触れることでようやく「遺伝的多様性」というものを知り、少しだけ実感することができた気がする。

砂にまぶされたアユの卵
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原崎
原崎 森(しげる)

1970年8月26日生まれ
山梨県出身

八丈島から屋久島へ。。。

巨木と苔の深〜い森を抱える島で、あえて海に潜る。

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